フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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表参道→白金高輪(徒歩)→祖師ケ谷大蔵(自転車)

 表参道の盆栽教室で撮影中に地震発生。「すごく揺れてる。ストロボ下げたほうがいいみたい」と照明の高さを下げた途端、揺れが大きくなる。スタッフみんなで盆栽を棚から下ろし、テーブル下に潜り込む。あまりに大きく長い横揺れで動悸が止まらない。自宅に残した猫のことが心配だった。

 ワンセグ携帯だったのでニュースを見る。なんと実家のある日立のほうが甚大な揺れだった模様。もちろん電話はつながらない。その間にも大きな余震が続く。ひとりでいたら怖くておいおい泣いてしまっただろう。スタッフがいてくれて心強かった。しかもそのうちのひとりは400人とツィートしているとかで、続々といろいろな情報が寄せられた。それにも助けられた。

 発生からわりと早い段階で地元で働く弟の携帯と連絡が取れた。海沿いの道ではなく、旧国道のほうを通って帰宅しなさいよ、と念押しする。盆栽教室の固定電話をお借りして実家に電話を入れるとあっさり繋がった。母だ。「こっちは大丈夫よ。据わりの悪い人形が落ちたりしたけど」とのこと。震度3級の地震が頻繁に起こるエリアなので地震への免疫があるのか、母は動じてないようだった(心配させないためか)。父も大丈夫とのこと。そうか、父は今日本にいたのか。ならば大丈夫だ、心強い、と安心できた。

 盆栽教室でみんなと余震を凌ぎながらほうぼうにメールを打つ。地元の友人たち、仙台や福島に実家がある友人たち、そして隣人。メールを自動受信できなくなっていて新着を問い合わせたら続々と返事がきていた。隣人から、我らのアンティークアパートは無事だとのこと。潰れていやしないかとヒヤヒヤしたからひとまず安心した。スタジオ同期のMから「平気か?」とメールが。意外なだけにありがたかった。

 2時間たって余震が落ち着きつつあったので解散になった。ライターのOさんは横浜方面まで帰らねばならない。心配だ。でもお子さんと連絡がついたそうでひとまず安心した。歩きながら、「こういうときに自分にとって何がいちばん大事なのかわかるね」「何が起きるかわからないね。毎日完全燃焼して生きよう、って思えてくる」「こういうことに直面すると、周りに優しくしようって自然と思える」等々話をしながら歩き、骨董通りの入り口で別れた。

 骨董通りから六本木通りに抜け、西麻布の交差点を広尾方面に向い、そのまま白金を抜けて桜田通りへ。大体一時間半の道のりを歩き、ようやく事務所到着。シェアさせてもらっているKカメラマンは危機管理能力の高い方で、移転当初から機材ラックやモニターが地震等で倒れないようにと厳重に備えてあったために、何も落ちたり壊れたりしていなかった。

 事務所用チャリンコで自宅をめざす。大通り沿いの歩道はどこも人の波。白金から恵比寿へ抜け、槍が先の交差点から中目黒へ、そこから246沿いに出て、三茶で世田谷通りへ入る。歩いたり乗ったりしながら22:00頃自宅に無事到着。玄関に飾ってあった猫型のビンや台所の食器棚に重ねて置いていた器やグラスが軒並み落ちて割れていた。台所の戸棚の扉は開いた状態、そこに入っているCDや漫画は落ちてなかった。部屋は、本棚に入りきれなくて上に積んであった本が落ち(なぜかほとんど落語関係の本)、写真立てがぞろぞろ落ちていた程度で済んだ。

 いつもならドアを開けると「にゃー」っと叫びながら玄関に出迎えてくれる飼い猫ぱちは、名前を呼んでもリアクションがなく、「ぱちー」と呼びながらこたつを覗くと隅っこでうずくまっていた。おびえて出てこなかったようだ。顔を見せたら安心したのか「にゃにゃ」と小声で鳴きながら出てきた。こたつの中にいて欲しいと思っていただけに、その通りにしていてくれて安心した。飼われてはいてもさすがケモノだ。

 靴をはいたまま台所の片付け。ほうぼうにメールを打ったり返事を出したり。落ち着いてから再度実家に電話を入れる。父が出て、母を休ませているとのこと。地元の友人や、東北方面に実家がある友人からも安否確認が取れたと連絡が入る。夜通しニュースを観る。東北の惨状が報道されるにつけ、「早く朝になって欲しい」と願った。こんなに朝が来るのが待ち遠しかったことはない。
Commented by でに〜。 at 2011-03-12 14:07 x
大事なくてよかったです。
うちは2人とも元気です。
家の中は本棚倒れたり鏡が割れたりといった感じですが何とか片付きつつあります。
日立の方も、ぱちさんも無事でよかったです〜。
引き続き注意ということで。
Commented by naomu-cyo at 2011-03-12 15:29
でに〜。さま・・・東北の惨状を見れば、本棚や食器の片付けくらいで済んでありがたいくらいですよね、ほんとに・・・。うちの実家は父曰く「ここは岩盤が丈夫なんだな」ということでした。人形ケースが落ちたくらいで神棚もびくともしなかったそうです。お互い、注意で。
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by naomu-cyo | 2011-03-12 11:01 | フォトダイアリー | Comments(2)