盛岡へ。
2011年 07月 10日
震災後だしどうなのだろうかと少し構えていたのだが、着いてみたら全くダメージのない風景だった。ほっとした。
新幹線で通った沿線の町もぱっと見には被害がないように見えたが、福島県内では外に人影がほとんど見られず(車は走っていた)、唯一たくさんの人が見えたのは、どこかの学校の校庭で体育の授業を受ける生徒の姿だった。名取界隈では新興住宅地のすぐ隣りに仮設住宅が立ち並んでいる。そして福島でも宮城でも岩手でも共通していたのは、美しい田園風景だ。秋には黄金色に染まるであろう大地。それは例年なら当然の実りの風景なのだろうが、今年はどうなのだろう。福島の米は食べられるのだろうか。そんな不安をかかえたまま、それでも農業にいそしむ人たちの心に思いを馳せてみるけど、馳せきれていないに違いない。今年は美しい眺めだのひと言では済ませられない。
夕方に着いて、現地の方々と合流し、それから三軒はしごする。一軒目の料理屋さんで次から次へと出てくる料理をうまいうまいと全て平らげていたら、二軒目三軒目ではさすがに何も入らなくなった。それにしても実にうまい。お酒もうまい。岩手の食文化の豊かさを胃袋が実感しまくる。地元の方々がこれおいしいからとどんどん勧めてくるのも納得する。とれたての鮎もいただいた。地のものを誇れるって素晴らしい。
ご飯の最中に弟から電話が入る。誕生日に送ったポロシャツが届いた、と。「FRED PERRYのポロシャツをちょうど探してたんだけど、サイズが見つからなかったから助かる。いい色だし」なんて呑気に言うから思い切って、「あんたいつの間にXLになったわけ?太り過ぎ、背が高いわけでもないのに。オシャレしたいなら痩せなさいよ。そのうち着られる服がなくなるよ」とずけずけ言う。職場の配置換えで今担当しているのが事務系だからあまり動かない、と言い訳するので、ならば食べる時間や内容を考えよ、年齢的に代謝がどんどん落ちるから痩せなくなるんだよ、とさらに追い打ちをかけるようにずけずけ。盛岡の料理屋の風情のある庭を眺めながら弟にダメ出ししまくる。たまにしか帰省しないくせに、エラソーな姉だ。
それにしても地元の方々、けっこう杯を重ねていると思われるのに、ちっとも酔った風ではない。強いのだな。ゆえに三軒もはしごできちゃうのだろう。一軒目は「直利庵」(蕎麦のおいしい料理屋さん)、二軒目は「とらや」(太田和彦さんもよく訪れるという地元密着居酒屋)、三軒目はホテルに併設された地ビールの店。胃袋がもっと大きかったなら・・・(それも困るが)。