立川志ら乃独演会「志ら乃大作戦」第26話。
2011年 09月 04日
志ら乃 「うなぎ屋」
志ら乃 「夏泥」
仲入り
志ら乃 「千両みかん」
今回は夏の噺を三席。高座撮影をしいしい志ら乃さんのお召しになっている着物の絽目を眺めながら、暦の上では夏のきものはこの日で終わりなのだと気付く。今年の夏はあっという間だった。ぼんやりする間もなく過ぎ去ってしまった。夏が足りないよ。
「夏泥」、好きな噺。泥棒のお人好しぶりが落語的な平和さにあふれていていい。また、この噺を聴いていると、江戸時代の長屋の間取りや夜の暗さが身近に感じられるような気がして楽しい。生活が見える、というか。きっと薄い壁一枚で隣家と隔たっただけの住居だったろうな、生活音もおしゃべりも丸聴こえだったろうな、と想像する。そしてそういう住環境がふつうだったろうから、聴こえてくることを意にも介さなかったと思う。おおらかだったろう。便利を味わうから不便を感じるようになるのだ。長屋の生活は、現代に照らし合わせれば一見不便そうだけど、そこで暮らす人々にしてみたらいろいろな面でちょうどいい住まいだったんじゃなかろうか。
「千両みかん」は今まで二度ほど聴いたことがある噺だけど、毎回どういうわけか爆睡でオチを知らなかったんだけど、今回初めてオチまで聴いて、「こういう噺だったのか!」と。なんだかついつい続きを想像したくなるようなラストだった。