フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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新宮ときいて思い出すのは

 台風12号の被害が甚大だったエリアにまた雨が降り出したときいて、さらなる災害が起きませんようにと祈るばかり・・・。

 先だっての被害報道で「新宮」の地名を目にしてすぐに思い出したのが、染織作家・荒木節子さんのこと。以前、某きもの雑誌の取材でお目にかかって以来、展示に二度ほど足を運んだろうか。前々回のわたしの個展にもいらしていただいた。

 取材のとき新宮出身と伺って、「中上健次と同じですね」と話したら、なんと荒木さんは同級生だったそうで、当時の中上健次が作家になる前のエピソードをいくつか伺った。作風を彷彿とさせるようなお話だった。中上作品は数年前になんとはなしに「千年の愉楽」を手にし、最初は読みにくかったその文体も、物語にひきずりこまれるうちにまるで気にならなくなり、あっという間に読み終えた。それからいくつかの新宮が舞台の作品を読んだ。強烈に新宮に行きたくなったのだが、まだそこまでは足を延ばせてない。

新宮ときいて思い出すのは_a0025490_06850.jpg
 あの頃あたりから、紀伊半島は興味の対象になった。文学旅でいくつかの地をほっつき歩いてきたけど、新宮や熊野を入れなかったのは、流れの中で訪れるのではなく、じっくり訪れたかったから。吉野にも行ってみたいし、今回被害が大きかった天川や十津川にも行ってみたい。失われてしまったものがまだあるような気がするエリアなのだ。

 去年の個展に伺ったときに、とても素敵な帯があった。おいそれと手を出せない価格だったので、同色同素材の鼻緒に落ち着いた。この鼻緒を付けた下駄は殊更お気に入りで、しかも合わせやすいからとても重宝している。新宮に土地勘もなければなじみもないけれど、知っている人の故郷であるというだけでたちまち見知らぬ土地ではなくなる。気になってハガキを出したら、ご実家は高台で難を逃れたとのこと。どうかこれ以上彼女の故郷がいたみませんように。

 
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by naomu-cyo | 2011-09-20 00:05 | 逢った人のこと | Comments(0)