フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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朝ご飯に想ふ。

 パンをいただいたので、何かスープ的なものでもこしらえよう、そうだ豆乳があったっけ、あれにインゲンとトマトを入れて塩こしょうすれば、それらしくなるんじゃなかろうか・・・と思い、豆乳を鍋に注ぐべく傾けてみたが何も出てこない。はて、と思いのぞいてみたら、紙パックの中で緩い豆腐になっていた。そういえば「豆腐が作れる豆乳」と書いてあった。直角にたててみたら豆乳と豆腐の中間状態のものがどろっと落ちてきた。水を足し野菜を入れ、ゆるゆると煮込む。

 なんだか不思議な味わいのものが出来上がった。まずい、のではない。トマトの酸味が際立った匂いも手伝ってなのか、なんとも不思議。パンを切って軽くオーブンにかけ、オリーブオイルとクリームチーズを付けて食す。おなかいっぱいだ。

朝ご飯に想ふ。_a0025490_10165745.jpg
 朝ご飯を作って撮って食べて、ぼやぼやっと思ったことは、ひとり暮らしにもそろそろ飽きてきたってことだ。正確には猫との生活だからひとりではないのだが、鼻で息する相手とはいえ、会話はもちろんのこと弾まない。寄り添ってくるしさみしくはないのだが、こんな微妙なものをこしらえてしまったときに、適度なツッコミを入れてはくれない、猫だもの。

 ひとり暮らしに戻って4年がたった。きもの熱が加熱し始めたのもその頃だ。相手の荷物がなくなってぽかっと空いた押し入れのスペースに、桐ダンスをすぽっとはめこんだ。今思い返せば余白を埋めるようなものだったかもしれない。そしてひとりになったこの年、それまででいちばん稼ぎが多かった。折半だった家賃や光熱費をひとりでなんとかしなきゃならないから頑張らなきゃと踏ん張った結果だが、こんな形で乗り越えられてしまうタフさがあっぱれでもあり憎くもあり・・・まあ、全ては自分で導き出した結果ではあるが。

 ひとり暮らしが充実してない、というわけではない。自分の居心地の良さだけを追求し形になった部屋はいるだけで楽しい。ひっくり返って本を読んでいればそれで満ち足りる。15年暮らしてきて台所もいい感じに育ってきた。ただ、濃度がどんどん濃くなっていく空間に浸っていると、風穴があかない。心理的な引きこもり状態に近い気がしてくるし、そこを危惧してもいる。仕事柄外には出るし他者とコミュニケーションをはかる商売だけど、そういうことじゃなくて、もっと生活の基本的なところで今、他者を欲している気がする。ふたりいれば、微妙な豆乳スープだって早くなくなるのだ・・・いやいや、そういうことではなく、もちろん・・・。
Commented by みかん at 2012-07-03 13:29 x
ちょっとした朝食がむーちょさんのカメラで芸術作品ですね。素晴らしい〜。
本を読む、着物を眺める、そんな時間は私にはうらやましいです。ひとり暮らしの特権ですよ。そうそう、常に他者を求める事をアピールする事も大切ですからね。まずは出会いです。(上から落ちてくるかもよ)
Commented by naomu-cyo at 2012-07-04 02:10
おおっ、みかんさん!ご無沙汰しております。時の流れが早くて、逢わないうちにもう今年も半分過ぎてしまいました・・・。
ひとり暮らし特権はもう十分満喫したのでそろそろ上から落ちてこないかしらー、と他力たなぼたばかりを願ってしまう・・・。嗚呼、時は七夕!
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by naomu-cyo | 2012-07-02 10:17 | お買い物 | Comments(2)