5年ぶりの「空想文学旅」〜発端〜
2012年 08月 28日
今回の旅のお供は中上健次の「千年の愉楽」と「奇蹟」。中上作品を初めて読んだときから新宮に行ってみたいと思っていた。
作品に描かれる新宮の「路地」には夏芙蓉の香りが漂い金色の鳥が訪れる。血なまぐさい出来事が頻発するにも関わらず、「別天地」という言葉を思い浮かべてしまうほど甘やかな空気が感じられる。人ではないものの存在が路地をおおい見つめているような心地さえする。その路地は今はないけれど、その残り香と中上文学が生まれ育った風土を感じてみたかった。
今回ほど縁の不思議さに感じ入ったことはないかもしれない。仕事で一緒になったUさんがやっているカフェにこまめに行くようになった4月頃、「百年の愚行」という本のタイトルがきっかけで「千年の愉楽」の話になり、彼女の店の常連である洋菓子店のオーナーパティシエが新宮出身だと教えてもらった。後日パティシェのSさんとお店で遭遇し、わたしが長々お世話になっている装丁デザイナー氏や書籍編集氏と友人であることが判明。そんな縁に感激していたら、やはりその頃知り合った陶芸家のTさんのお父上も新宮出身で、パティシエのSさんの友人であることが判明。何重にも縁が繋がったのだった。
(写真は宿の窓から見えた朝の神倉山。ここで毎年2月6日、御燈祭が開かれる)
御燈祭、テレビで見ました。太古のエネルギーの感じがきっと残ってるんだろうなって印象受けました。紀伊半島も(日本各地の半島もそれぞれに)なんか独特の習俗ありますね。ルポ、楽しみにしています〜。