フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


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ウェディングアルバム

 たくさんお世話になっている方から結婚式撮影の依頼があり、3月末にその日を迎え、ようやく4月末に写真が完成し、新婚夫婦が過ごす連休の沖縄へ発送した。

 これまで友人知人仕事仲間から頻繁に結婚式撮影を依頼されてきた。最初は特に撮影費を設定していなかったが、とにかく納品量が多いうえに、撮りっぱなしで渡すわけではなくカットごとに調整を入れる。そうすると納品にたどりつくまでにそれなりに時間と手間がかかるわけで、安請け合いすると自分の首を締めることになる。数年前痛い目を見たので、価格設定をすることにした。事前にインデックス付きのデータ納品であることを告げ、アルバム制作までは引き受けない。けれど今回は自主的にアルバムを作成し、出席者に配る用のプリントも添えた。数えきれないくらいお世話になっているから、そういう形でふだんの感謝を表したかった。

 感謝うんぬん以前に、素晴らしい式であった。人前式で司会者から読み上げられた言葉、新郎新婦の挨拶、出席者の言葉、そしてたくさんの「よかったね」にあふれた笑顔。今回のふたりは50代の再婚同士で、新郎はパイロットで沖縄在住、新婦は横浜のコンサルティング会社の社長。取材きっかけで彼女と出逢い、それから目をかけていただき、たくさんの縁をいただき、仕事までいただき、それ以外にもたくさんのものをいただいている。この先自分の人生が息詰まったり迷路に陥ることになったらこの人の言葉に耳を澄ませ自分を信じればいい、と思えるほどに。そんな人からの今回の依頼だった。自分の中にあふれる想いがあった。

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 納品作業をしながら、式のことを思い返して涙がじわっとにじんでくるなんて初めてのことだった。撮りながらも涙がにじんで仕方なかったけど、後々までそれが引っぱって、しばし多幸感に包まれた。二年前から、集った人たちが飲食しながらおしゃべりや笑顔を交わすのを意識的に撮るようになった。あの震災から数週間後、心の師匠の現場でセカンドカメラマンとしてパーティーの撮影をしたときに、人が集って飲食するってなんて幸せな光景だろうとしみじみと実感したことが発端だ。彼女の式も実に幸福感にあふれていて、みんな見事に笑っていた。その光景がとてもとても愛おしかった。

 編集とかデザインのセンスは皆無だから、アルバム作成は試行錯誤の連続だった。そこはともかく、素晴らしいアルバムと自負できるものに仕上がったと思っている。被写体のふたりがかっこ良く美しかったのももちろん大きい要素だ。いつかわたしもこの先の人生をともに分かち合い歩んで行ける人に辿り着きたい。あの日のふたりの姿に激しくそう思わせられた。
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by naomu-cyo | 2013-05-06 15:16 | お仕事 | Comments(0)