フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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「暑気払い」

 梅雨入りしたらしいけど毎日天気が良く、かといって夕方になると気温が下がるから、キンキンに冷えたビールで喉の乾きを潤さずにはいられない・・・というわけでもない。空梅雨も冷夏も秋の収穫にさしさわりがありそうだから困るけれど、なんだかとても過ごしやすい。

 「暑気払い」という響きがとりわけ好きで。新年会とか年度納めとか忘年会とかいう言葉もいい。久しぶりに逢いたくなった友人やちょっと気になっている人、交流をもっと深めたい人・・・などと一緒に飲みたいな、なんて場合に、これらにかこつけて誘いやすくなる気がする。ふだん頻繁に飲み歩いているわけではないから、誘うのに理由付けをしたくなってしまうのだ。まだ本格的な暑さを迎える前から「暑気払いでも」を乱発している。逢いたい人がやたらと多い。

 うちのアパート1階のいちばん奥の部屋は大家さんの姪の倉庫同様になっていて、今は彼女の友人が滞在しており、今朝ドアを開けたらその人とばったり遭遇した。年の頃は50代後半くらいか。初めましてと挨拶し合い、だんなさんの仕事の関係で滞在しているスウェーデンから一時帰国していること、生まれたときからずっと小田急線沿線で暮らしてきたことなどをひとしきり話した後で、「帰国中はほうぼうの友人と逢っているので帰りが毎日遅くて。この年になると、病気で入院している友人のお見舞いやお墓参りなんかも多くてね。逢えるときに逢っておかないと」とにこやかに、でもちょっとさみしげに話していらっしゃった。

「暑気払い」_a0025490_0491234.jpg
 スウェーデン行ってみたいです、白夜があるんですよね?と尋ねたら今がまさに白夜の時分だそうで、「こんなふうに薄曇りな感じなの、夜が。冬は寒くて食材も少なくなって。夫の仕事が片付いたらすぐ帰国するわ」と笑う。名前は忘れたんですけど、めちゃめちゃ臭い缶詰ありますよね?と尋ねたら、「そうなのよ。発酵して缶がぱんぱんになって、開けると爆発したみたいになって。ほーんと臭いのよー!」と。みんなそれを食べるんですか、と尋ねたら、一部の地域の人たちの郷土食みたいなものなのだという。「そんな臭いものを平気で食べるくせに、納豆を臭い臭いこんなの食べるなんて信じられない、っていうのよ。面白いわよね」と教えてくれた。

 彼女とお別れした後、駅へと歩きながらつくづく思った。逢いたいと思う人にはその都度逢っておかないとなあ、と。義務とかそういうんじゃなくて、逢いたいと思ったその気持ちに素直に従うだけの話だ。なにも「暑気払い」を持ち出さなくても、逢いたいなら逢えばいい。タイミングが合わずなかなか逢えそうもないときもあるけれど、それはそういう時期なだけで、次のタイミングを待てばいい。待つ間に逢いたい気持ちが落ち着いちゃうこともあるけれども・・・。
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by naomu-cyo | 2013-06-07 00:49 | フォトダイアリー | Comments(0)