フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


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おおのの「みすゞちゃん」いよいよ開幕!

 わたしの中の「みすゞちゃん度」はどれくらいだろう・・・稽古を観終えて真っ先に思ったことだ。

 本日12日19:30、みすゞちゃんの妄想炸裂な舞台が幕を開ける。その前にゲネプロ撮影をするので、役者さんの動きと照明加減をさらっておくために、きのう劇場での通し稽古を観てきた。

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 去年暮れの時点では金子みすゞを軸にした作品にするつもり的なことを話していた大野さん。半年後、その構想はすっかり変わっていて、太宰治の短編「女生徒」をベースに、太宰の他作品や金子みすゞの詩を絡めながら、主人公・みすゞの妄想が疾走する物語となっていた。大野さん、また愛しい作品を生み出してくれた。いつも大好きになる作品ばかり作ってくれる。撮影に備えた下見そっちのけで作品世界に没頭した。

 みすゞの目を通すと、彼女の周りにいる人たちも妄想疾駆型ばかりだ。会社の上司は失恋した部下を慰めるのに太宰治の「斜陽」を引っぱり出すし(その引用箇所がわたしの大好きな場面で、大笑いした)、デート相手の同僚は美術館内をいきなり合戦場にしてしまう。一方、こうした大いに飛躍する妄想の先にノスタルジーも感じられたりするので、合間合間にしみじみさせられる。大野さんのこういう押し引きの加減、わたしはとても好きだ。

おおのの「みすゞちゃん」いよいよ開幕!_a0025490_1047690.jpg
 「妄想女子と妄想男子の闘いだから」と大野さん笑って言う。妄想男子?と問うと、「俺がね」と。書いてて恥ずかしくなっちゃってさ、と通し稽古後の喫煙所でほんとに照れくさそうにしていた。それも立派に大野作品の魅力のひとつだよ。

 毎年「おおのの」名義で文学ネタの舞台をこしらえる大野さん。ふだんは花組芝居で演出助手をしている。花組芝居のエッセンスも薫らせながら、現代にあっては昔気質風の文学世界に今の風を吹き込んで、新たな魅力を伝えてくれる。太宰の命日「桜桃忌」が近付くこの時期に、この舞台。久しぶりに「女生徒」を読み返した。主人公の少女がそのまま大人になったらみすゞちゃんみたいな人になるんじゃないかしら・・・。改めて、太宰作品の普遍性に感じ入ったりなんかした。

 おおのの公演「みすゞちゃん」は12日から16日まで。下北沢小劇場楽園にて。詳細はこちらで。
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by naomu-cyo | 2013-06-12 10:48 | お芝居 | Comments(0)