フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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高級鮨屋にて

 先日、プライベートではまるでご縁がない富裕層向け媒体の撮影で、青山の高級鮨屋に行ってきた。

 食べてないので、どこがどう高級なのかはわからないが、ひとつ言えるのは家賃が高いにちがいないということ。それをペイできるのだから当然鮨だって高い。もちろん旨いのだろうが。

 鮨よりも何よりも気になったのが、使われている道具や器たち。この店はシャリがお櫃に入っており、そのお櫃をくるむ籠のようなもの・・・「つと」が実際に現場で使われているのを初めて見た。鎌倉のもやい工藝で実物を見たことはあったが、使用風景に遭遇したのは初めて。感激した。

高級鮨屋にて_a0025490_825131.jpg
 我が家でも3合サイズの秋田杉のお櫃を使っているのだが、何が厄介って黒ずみ(カビ)ができてしまうことだ。やすりやタワシでこすってみたもののきれいさっぱり消えることはなく、木地の奥にしみこんだまま。だからといって中に入れたご飯にカビが移るわけではないのでそのまま使っているが、鮨屋のお櫃はさすがにぴかぴかで黒ずみの気配すらなかった。大将に「お櫃が黒ずんだりしませんか?」と尋ねると、営業後黒ずみ防止のために酢水を張っておくのだという。それでもゆくゆくは黒ずんでくるので、お客様の前でそれを使うのは憚られるから潔く新しいお櫃に買い替えるんだそうな。

 こういう昔ながらの客商売のお店がじゃんじゃん使って買い替えてを繰り返すことで、お櫃職人さんも存在し得ているのかも・・・と考えたら、道具を媒介にした職人同士の無言のやりとりがあるような気がしてきて、なんだかとてもふっくらした気持ちになった。
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by naomu-cyo | 2014-07-13 08:25 | お仕事 | Comments(0)