フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


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讃予線に乗って

 松山から今治、今治から新居浜、新居浜から松山。慌ただしいけれど、車窓から見える景色はその慌ただしさを消してくれる。その日の瀬戸内海は真っ青だった。

 瀬戸内海を意識するとき、思い出されるのはそこが源平合戦の舞台になった海だということで、飛行機から眺めたときは、ここに赤い旗白い旗を掲げた船たちがひしめいていたのだなあと一生懸命想像してみた。当時はもちろんそんな空からの目線はないわけで、それでもどんなふうに見えたんだろうかと想像は止まらない。たくさんの血が流され、あの真っ青な海も赤く染まったのだろうか。それとも染まりきらないほどの青さだったのだろうか、と思う。

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 たしかあれは小学2年に上がる前の春休み、高松に単身出張中の父と合流して、愛媛から香川を旅した。松山で道後温泉に行き、香川では丸亀城を見、栗林公園を散策し、金比羅さんに詣った。熱を出した弟は籠に乗せてもらい、わたしはあの長い階段で何度か転び、タイツの膝に穴を開けた。水槽で魚が泳いでいる店で晩ご飯を食べ、宿泊は旅館だった。今思えばTHE・昭和の家族旅行みたいな旅だった。

 今治はタオルの街の印象がすっかり定着していたけれど、取材先で伺ったら造船で世界第三位の街だという。次に訪れた新居浜には太鼓祭りという盛大な祭りがあるとのことで、地域ごとに山車が出て、会社や信用金庫も休みになったりするのだとか。その土地土地の話はとても興味深い。一見しただけではふつうの地方都市のように見える街でも、きいてみるとぎらぎらとした個性があったりする。

讃予線に乗って_a0025490_255235.jpg
 今治や新居浜で感じたのは、そこに居る人たちがなんだかとても穏やかな雰囲気をまとっていることで、やたら気さくな感じがした。瀬戸内海がもたらす気質なんだろうか。その人がどんな海に接してきたかで気質のほうにも多少の違いがあるように思う。気質が気候風土に左右されるというのは正しい人の営みという気がする。
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by naomu-cyo | 2014-11-04 02:55 | | Comments(0)