もうじき逢える
2014年 12月 15日
Kの息子が、ダウン症の可能性がある(7ヶ月時点)、やっぱりそうだった(出産後)、と知らされたとき、Kがこの先しんどくなるときがあったら、子どもの前ではいつも笑っていられるように、わたしやCちゃんの前では思いきり泣かせてやろう、と思っていた。と同時に、Kの息子とコミュニケーションをとれるようになりたい、彼の抱えるダウン症の世界を理解できるようになりたい、と強く思った。それをCちゃんに伝えたら彼女も強く共感してくれて、「Mくん(Kの息子)は生まれて早々わたしらに学びの機会をくれているね」とメッセージをくれた。ほんとだ、とてもほんとだなあと思った。
そんなとき、「101年目の孤独 希望の場所を求めて」(岩波書店)に出逢った。高橋源一郎という作家はもちろんのこと知っていたけど、作品世界にまでは手を出していなかった。学生時代、クラスメイトの女の子が「源ちゃん源ちゃん」と呼んで彼の小説をたたえていたけれど、当時純文学浸りで故人の作品ばかり読み耽っていたわたしには現役作家の作品は遠くて、結局「顰蹙文学カフェ」を読むまで高橋源一郎なる人がどういう作家なのかまるで知らなかった。
ちょっとくらいえらそーにしてもよさそうな立ち位置にいながらそんなところは皆無で、むしろ存在感を消しながら前傾姿勢で腕を組みそっと世間を窺っているような、でも発言する場では誤解をもたれないよう言葉を尽くして持論を展開する、なんていうか奥ゆかしさというかはにかみというか、そういう感じの作家さんという印象がこの本を読んだ後残った。実際のところはどうなんだろうか。お逢いしてお話を伺って、撮ってみたい。そんな日がいつか来る前に、彼の本をくまなく読んで備えておこう。