フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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扇橋師匠のお通夜へ

 おとといの夕方、扇辰師匠からお電話が入った。師匠からお電話をいただくことは稀だし扇橋師匠のお葬式の直前だったので、おそらく遺影のことではなかろうかと思ったら、果たしてそうだった。

 扇橋師匠の写真はありますか、あったら見せて欲しい、こちらにも何枚かあるから必ずしも使うかどうかはわからないのだけれど、と申し訳なさそうにおっしゃるので、東京かわら版の取材でお撮りしたものが何枚かあります、高座とインタビューの写真をそれぞれご用意します、とお返事して電話を切った。

 撮影と打ち合わせを終え、事務所に戻る。あの取材はいつだったっけと調べたら2011年4月下旬の日付だった。4年も前のことだけど情景をわりとはっきり記憶しているのは、やはり写真を撮ったからだろう。インタビュアーの質問に即答するというんではなく、ご自身の間合いで・・・たとえば煙草の煙を吸い込んでゆっくりはき出して灰をとんとんと落とした後に答えるみたいな・・・お話しになる、そんなゆったりとしたインタビューだった。これが好きでね、とおっしゃって店の看板メニュー「楽屋もち」をお食べになったっけ。

 お撮りした写真の中から2枚を選ぶ。高座はこっち、インタビューはこっち。ほかにも何枚かあるけれど、この2枚がわたしの記憶に強く残る扇橋師匠のお姿だ・・・と思ってそれを扇辰師匠に送ったら再び電話があった。、お手数おかけしました、ありがとうございます。むーちょ、ちょっと話してもいい?実はね、どっから見っけてきたのか、「この写真がいいね」ってみんなが言う写真があったのよ、でも撮ったのが誰だかわからなくて、それで別な写真にって話していたんだけど、むーちょから届いた写真を見てこれだよこの写真、この煙草を吸っている写真だよ、ってなったんだ。これを使わせてもらいます、ありがとう・・・そう伝えられた。なんてカメラマン冥利に尽きることだろう。

扇橋師匠のお通夜へ_a0025490_10195376.jpg
 昨夜お通夜に伺った。お焼香が始まる前で斎場は偲ぶ人たちでごった返していた。扇辰師匠をお見かけしたので挨拶をしたら、わざわざ祭壇が見えるところまで案内してくださって、見て見てほらあそこに師匠の写真が。おかげさまです、ありがとうございます、と丁重にお礼をおっしゃられた。いえいえこちらこそ、お声かけいただきありがたいことですと伝え、お焼香に並んだ。後ろに並んでいらした方が遺影を見て、「あ、扇橋さん、煙草吸ってる。懐かしい」とおっしゃった。この遺影を見た人が記憶の中の師匠といつでも結びつくといいな。扇橋師匠、ほんとうにお疲れさまでした。そしてこのたびのご縁、ありがとうございました。
Commented by saheizi-inokori at 2015-07-15 10:30
残念です。
この写真ですか?
http://hajime-17.blog.jp/
Commented by naomu-cyo at 2015-07-15 10:41
佐平次さん・・・お久しぶりです。こちらの写真です。
http://www.daily.co.jp/newsflash/gossip/2015/07/14/0008209459.shtml?ph=1
ほんとに残念。寄席で師匠の高座をもう拝見できないなんて。
Commented at 2015-07-15 14:10
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by naomu-cyo at 2015-07-16 10:37
team-osubachi2さん・・・おっしゃっていただくような未来になったらいいなあとわたしも思うんですけれども、これがまたどうして、まだまだもがくかと思います。なにしろ欲深い(笑)。田舎者だからなのかな、でかい仕事したいぜっていう単純曖昧な望みがまだ落ち着きません・・・やれやれ。
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by naomu-cyo | 2015-07-15 10:20 | 落語 | Comments(4)