「毎日っていいな」〜吉本ばななの連載を読む〜
2016年 06月 29日
ちょっと前の「せちがらい世界」と題されたエッセイはやたら納得するところがあって切り抜いてあった。
ざっと事のあらましを抜き書きするとこうだ。電車で目的地に着くまでに「チッ」と聞こえよがしに舌打ちする人に四回会った。「すごいことになっちゃってるな」と思った。「その人たちだって家に帰れば好きな音楽を聴いたり、ドラマを観たり、家族に会ったりして、『チッ』と舌打ちをしない人生を送っている一面もあるにちがいない」「それとこれを分けて生きられると思っているのがなによりすごい。そんなはずはないだろう」・・・「そんなはずはない」、ほんとにその通りだなあと思う。
高島屋の紙袋をいくつも持って高そうな身なりをしたおばさんふたりと電車で遭遇したことがある。目つきがなんだか意地悪そうで、口の形はそろってへの字の形。ああ、これはきっとふだん不平不満ばっかり言っている人だなあと思った。聞くともなしに聞こえてくる会話は全然楽しげではなかった。で、こういう人に遭遇すると、自分は気をつけようって思う。たとえ自分が絶不調のときでも、への字の形になったらおしまいだって思う。
今日、仕事で訪れた目白駅そばの横断歩道で、知り合いの舞台女優さんに声をかけられた。少なくとも声をかけられる程度にはかけやすい顔して歩いていたということだろう。まあ、わたしが抱く不平不満なんてのはつまるところまわりまわって自分への不平不満に行き着くことがほとんどなので、そんなわたしは不平不満面で歩く資格などないのだ。自戒を込めて。それにしても、かわいい彼女に声かけてもらって嬉しかったな。