過日。Yさんが一時帰国されるので、新年会をしましょうとクライアントさんからお誘いがきた。
Yさんはわたしからすればクライアント(=制作会社)のクライアント(企業の広報)だった方で、広報誌の撮影をいただき、何度も現場でお世話になった。今は旦那さんの仕事の関係でジャカルタで生活しており、帰国の折には毎度こうして誘っていただく。
その日は撮影がなくデスクワークの1日だったので、きもので出かけることにした。場所は代官山にある
スプリングバレーブルワリーというクラフトビールを取り揃えているおしゃれなお店で、最近では代官山に行くといえば
キッズ伝統芸能体験の三味線のお稽古風景撮影で杵家会館に行くくらいだったので、食事でかの地は久しぶりのこと、ちょっとわくわくした。
ふだん着感があって、おしゃれ代官山に負けない格好を・・・と考え、渋めの色で構成された縞の小紋と盛岡・草紫堂の紫紺染めの絞りの帯を合わせる。色のテンションがまとまっていてかつ紫のインパクトはあるので、ちょっとかっこいいかなと組み合わせた次第。
この小紋はかれこれ8年くらい前に京都のリサイクル屋で1万円で購入したものだ。八掛に赤っぽいオレンジが合わせてあり帯合わせにいつも困っていてあまり着なくなっていたのだが、洗い張りしてグレイがかった青の八掛に付け替えてもらった。この八掛は別のきものに使われていたものを再利用。きものはこれが出来ちゃうから便利。1万円で買ったものに洗い張りやら仕立て替えやらのお金をかけることにためらいもあったけれど、そもそもこの渋めの色合いで線に揺れのあるところが気に入って買ったのだしと直しに出してみたら、驚くほど使い勝手のいい、しかもかっこいいきものになって戻ってきた。
帯は、2011年の夏に盛岡で落語会を開催している方から、いまや押しも押されぬ売れっ子真打ちの春風亭一之輔師匠が二つ目時分の独演会の招待をいただいた際に、せっかく盛岡にいるのだからと立ち寄った
草紫堂で、紫紺と茜色の渦にくらくらしながら、これも復興支援とひとり合点し(つまりは買いたい自分への言い訳・・・)、
買い求めたものだ。染める前の絞りの糸がくくられた白生地を見せていただき、なんと細かい手仕事なのだろうと感激したのだった。
京都の出逢いと盛岡の出逢いを身につけて、代官山でわいわいと飲みかつ食らう。ジャカルタの話、それぞれの近況、話題は尽きない。現場を共にした案件からは今や皆離れているけれど、それでもこうして集ってご飯を楽しく食べる機会がある、そこに声をかけてもらえる、っていうのはきっといい仕事ができたからだろう。これからもそんなふうに仕事を重ねていきたい。