フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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暮らしの中の禁句

 暮らしの中で、自主規制して口にしないようにしている言葉がいくつかある。「疲れた」「つまんない」「めんどうくさい」「暑い」・・・ぱっと思いつくところでこの4語だ。

 「暑い」だけ傾向の違う言葉なのでひとまず外したとして。ほかの3語は、口にした途端たちどころにその言葉の意味する状態に身も心も引きずり込まれるほどの負の引力がある。言わないぞと注意して言わないようになると、その言葉そのものどころかその意味するところの状態もわたしの暮らしの中から消え去っていく。言霊のなせる業なのだろうか。おかげで疲れ知らず、好奇心旺盛、こまめに動くのを信条としていられる。

 「暑い」は我が家の環境に関係するところが多い。東京に暮らしていながら我が家にはエアコンがない。夏の暑さは扇風機と除湿器でしのぎ、冬の寒さはこたつとヒーターでしのぐ。「寒い」は口にする。寒かったら重ね着していけばいいので対処のしようがあるからだ。「暑い」からといってひたすら脱いでいくわけにもいかないので、「暑い」という言葉は封印。「暑い」と口にした途端暑いことが今最も気になるところとなり、汗がだらだら流れ出す。言わなければ気にならない。気にしないおかげで、むしろ公共機関の冷房が「寒い」と感じるようになった。

暮らしの中の禁句_a0025490_08350508.jpg
 わたしが十数年心を寄せ続けている落語の世界には「忌み言葉」があるようで、インタビューなどでお話を伺っているとときどきあれっと気付くときがある。陽性の言葉を意識して口にしていると、気分もそちらに引っ張られるような気がするので、極力いい言葉を選って使いたい。そうそう、自分のことを話すときに、場のノリによるけれど(たとえば自虐ネタを披露する明るい場などは別として)、「わたしなんて」と言わないようにする。「わたしなんて」を頻発していると、ほんとに自分のことを大事にできなくなって、「わたしなんて」な扱いを自らわたしに対してしてしまうのだ。

 こないだ長年お付き合いのあるクライアントの女性から、「むーちょに撮影をお願いするのは、場を盛り上げて明るくしてくれるから」と言われた。妖精、もとい、陽性の空気をまとうこと。これも自営で仕事する際の大事な要素のひとつだ。言葉、侮るなかれ。

Commented by たま at 2017-06-22 20:18 x
むーちょさん、いつも拝読しています。
フリーランスの仕事を私も経験したことがあります。その前は
公務員(!)だったので、労働者として完璧に守られつつ甘えてました。甘え、だと気がついたのはフリーになってから。組織に守られずにひとりでお金を稼ぐことの厳しさは10倍、でも組織に居るよりも10倍くらい楽しさ、がある暮らしでした。「ネガティブな人に、人はついてこない。」と、フリーのとき痛感しました。でもね、本当は10倍ネガのある(笑)ものですから、むーちょさんのネガを引き受けてくれる人が、周りにたくさんいらっしゃるのでしょうね。人の愛もまた、濃く感じられる。あ、それがむーちょさんの姿勢ですね。
Commented by naomu-cyo at 2017-06-23 01:15
たまさん・・・お読みいただき、ありがとうございます!励みになります!
そうそう、中学高校の頃、自分はなんて暗い人間なのだろうと思いながら日々を送っておりました。でも今だから言えるのは、その自分のネガティブをコントロールできていなかったからだと思うのです。今だって根本のところは変わってないんですが、自営なんぞしていると仕事モードの自分が「いかんよ!ネガティブはしまっておきなさい!」とささやくのです(笑)。おかげで「現場は明るく」をモットーに続けております。抑制の方法を学ぶと、だんだんにネガティブシフトが減っていくようにも思います。あとは、困ったときは落語を聴いて笑う。そうするとけっこう回避できちゃうものです。根本の解決にはなっていないのですけどもね・・・どこまでだませるかしら・・・
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by naomu-cyo | 2017-06-21 08:37 | フォトダイアリー | Comments(2)