フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


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なにゆえ京都に

 6月後半から続いている怒濤の撮影daysも、三連休が明けるとひとまず落ち着く。この半月で、青森各所で丼の撮影、福島でタコ漁取材、藤野で舞踊家の宣材撮影、京都でクラフト市の取材、自前スタジオでカシミアニット製品のカタログ撮影、きもの関連製品のカタログ撮影、きもの書籍の撮影・・・とそれぞれが長丁場の現場が重なった。おかげで、「今年もあと半年かぁ・・・」と思った6月末から一気に7月半ばまでワープしてしまったかのような心地。気付けば毎日が猛暑の日々に突入してもいた。

 もとより暑さには耐性があるものの、最初の一週間くらいは身体がまだ暑さに慣れていなくて、言わないようにしている「暑い」をつい連発していた。それにしても先週末に訪れた京都の暑さは半端なく、その性質自体が東京とは違うように感じたのは気のせいではないだろう。いわく京都は盆地だからとよく耳にするが、なぜにまたあのような蒸し風呂状態になる土地に千数百年もの間都が置かれていたのか、住み心地の点で考えると理解に苦しむ・・・。地球温暖化の影響とやらで気温そのものが上昇しているとはいえ、都在中の頃と今とで気候風土の基本構造が大きく変化したわけでもあるまいに、と思う。そんなわけだからおそらく、京都という地はいにしえからの暮らしやすい生活の知恵をたくさんもっているにちがいないとも思う。

なにゆえ京都に_a0025490_14501729.jpg
 取材地である下鴨神社から程近い修学院に宿がとってあった。着いてみると宿の目の前に高野川が流れており、窓を開けるとテレビの音をかき消す程に水音がきこえてくる。ゲリラ豪雨の後だったので、ごうごうとすさまじい音ではあったが、暑さを緩和してくれる音でもあった。もしかしたら京都の涼み方というのはこうしたところにあるのかもしれない。実際に涼しくなるようにするのではなく、音や景色によって涼しい気になる。肌にではなく脳みそに働きかける涼の取り方がお江戸東京などよりもすさまじく発達しているのかもしれぬ。情緒とか風情とかってそういうところに宿るのかもね。自分の汗臭さにげんなりしながらも、真夏の京都の楽しみ方の発端を見つけたような心地になった。

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by naomu-cyo | 2017-07-17 14:50 | | Comments(0)