コーヒーを丁寧に入れたくなる・・・「かもめ食堂」を観て
2006年 06月 12日
フィンランドで定食屋を営むサチエさん(小林聡美)が主人公。シンプルな色使いと柔らかい自然光が入る空間でグラスを磨きつつお客さんを待つ日々。そこに日本からの旅行者ミドリさん(片桐はいり)や読心力(?)を持つマサコさん(もたいまさこ)が仲間入り、だんだんにフィンランド人たちが店を訪れるようになる。実にナチュラルな作品。映画的な事件もなく映画的な恋愛もない。そこにはサチエさんが作る料理と人と人との交流があるだけ。
単身外国に行ってみたものの、言葉もわからずちょっと心細いなってときに出逢った同胞の懐かしさ。相手の過去やそこに来たいきさつなんてどうでもよく、ただ目の前のその人に接して安堵するあの感じ。そういう感覚がとても自然に描かれていた。安堵したと思ったらその人はいわゆる「日本料理」を出すのではなく、至極一般的なおにぎりやおみそ汁を出すのだからもう嬉しくなってしまう。
特に気になったのがサチエさんの料理の手つき。丁寧で丹念でさりげない。この印象ってそっくりそのまま荻上作品に感じることでもある。映画時間がするっと流れて、ディテールが細やかに描かれているのにこだわってる感が強くなく、さりげなさが心に残る。押しつけがましくない。それがとても心地いい。
シナモンロールの匂いに誘われてすっかり「かもめ食堂」の常連化してしまうおばさま三人衆のファッションがとてもかわいい。一見ダンディーなのに実はちょっとへなちょこな男性はアキ・カウリスマキ作品でも描かれるフィンランドの男性のひとつの典型のよう。逢ったことがないのに逢ったことがあるような、行ったことがないのに行ったことがあるようなそんな懐かしい感じのつまった作品だった。
サチエさんのまねをしてコーヒーを入れてみた。いつもよりちょっとおいしく入れられた気がした。あとは・・・シナモンロールかおにぎりか。それはまた時間のあるときにでも。
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ふふふ。
コピ・ルアックのおまじない、ききましたか?
映画の空気感がとてもよかったよね。
まさにあんな空気と時間の流れがありました。
本当のお店も地元の人が気軽に集まるあたたかいお店でしたよ。
日本にあってフィンランドにあるもの、それはサーモン! イェイ!