フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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フリーランスの修学旅行「お伊勢参り」〜二日目編〜

 明けて二日目。布団が厚く寝汗をかいていたのでそろって朝風呂。極楽極楽。家にいるとこんな時間に目をさましてひとっ風呂浴びるなんてことは稀なのに、旅先だと朝も早よから活気にあふれる。やはり旅の途上は非日常。ふだんと変わりないようで気分は高揚している。

 朝食バイキングを大いに楽しむ。海沿いの街なせいか魚介メニューが多い。野菜不足解消とばかりにあれこれ取りまくり食べまくる。9:00にホテルを出るバスに乗って駅へ。さよなら、蒲郡、また来るよ。

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 向かうはお伊勢さん。紀伊半島初上陸!遠いと思っていたけど、名古屋から90分程度か。予想よりもずっと近いんだ。車窓から見える田園の緑がほんとに美しく、そこをわたって行く風の足跡がくっきり見える。あの中に立って写真を撮ってみたいな。岩井俊二監督「リリィ・シュシュのすべて」に田園に立ちすくむシーンがあった。あれは秀逸のシーンだったなあ。沿線には昔ながらの瓦屋根の家が多く、それもまた重厚感があって美しい。紀伊半島と言ってイメージするのは「水軍」。時の為政者に屈しなかった雑賀衆も優秀な水軍を持っていた。日本酒「雑賀」も旨い。それから熊野、紀州の梅、伊賀忍者・・・。
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 駅前のホテルでひとまず荷をおろし一路伊勢神宮の外宮(豊受大神宮)へ向かう。鳥居というと朱色のイメージだったけど、ここは木のまんま。こしらえのひとつひとつが至極シンプル。緑が多く、大きな森全体が神域になっている。橋を越える前と越えて神域に入った後とでは、気のせいかもしれないけど空気の清浄感が違うみたい。たくさんの緑が雑音を吸収してしまうのか、静寂が横たわる。参拝の柏手の音もよそで聞くよりひときわ大きく、目をつむっている時間も長い。えっちらおっちらやってきて辿り着いた満足感とありがたいという感情、あふれ出す思いがこもるのだろうか。

フリーランスの修学旅行「お伊勢参り」〜二日目編〜_a0025490_8463193.jpg 殊更神様だの仏様だのを気にしない生活を送っているけど、DNAレベルで持ち合わせている信仰心はたしかにあると思う。鳥居を見れば頭を垂れたくなるし、祈る前にお賽銭を入れたくなるし。そこに何の神様が祀られているかは二の次で、祈るという行為そのものが信仰心の形なんだろう。

 外宮を後にして月夜見宮を詣で、神路通を散策。古い木造建築そのままの趣きのある「糀屋」に入ってみると味噌の薫りが漂ってきた。荷物が重たくなるのはわかっていても、匂いに誘われ買わずにはいられず、合わせ味噌を3つ購入。自宅用とお土産用。ひと休みした公園で少年たちがサッカー野球をしていた。リーダーとおぼしき少年は裸足でボールを蹴っている。子ども声の柔らかい関西弁がなんとも快い。木陰とベンチと子どもと青空の配合が素晴らしく、何度もシャッターを切った。自分にとっては旅という非日常、でもそこに暮らす人にとっては日常の風景。
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 昼は名物・伊勢うどんを食す。こしがなくて柔らかい食感で、つゆはソースのような濃い色なのに味はあっさりという不思議さ。思いの外おいしくって、これなら毎日でも食べられそうな気がした。その後、駅向こうの河崎町へ。ここはNPOが街並みの保存をしており、通り沿いには古い木造建築が軒を連ねている。ひとつひとつに元は回船問屋だったとか砂糖問屋だったとかの説明書きがある。中はリノベーションされているけど、暖簾が風に揺れ葦簀が日光を遮るその眺めに、見た目の涼しさで涼を感じる工夫が見てとれる。興味津々になって三人でいろいろな店をのぞいてまわった。雑貨屋さんで夢二のイラストが入った扇子を購入。

フリーランスの修学旅行「お伊勢参り」〜二日目編〜_a0025490_8473798.jpg 川沿いでひと休み。心のしわが伸びきった気分。古い木造建築続きで全体的にこげ茶な色味の強い街並みにあって、あちこちに植えてある花が彩りを添えている。できる範囲で丁寧に思いをこめて街を保存しているのが伝わってくる。力みや押しつけがまるで感じられず調和がとれた街だ。夜はその通り沿いにある蔵造りの「虎丸」にて。驚くほど何を食べてもおいしい店で、東京では考えられない値段で活きのいい魚料理を楽しんだ。飲むより食べるが中心の三人で、おいしいおいしい、幸せ幸せを連発。

 帰りしなに街の銭湯に寄る。繁盛店らしくにぎやか。ささやかながら露天風呂もあった。ここでもまた、そこに暮らす人の日常に紛れ込んで楽しんだ。自分ひとりで旅行していたら地元の銭湯に行く選択肢は浮かばなかったろう。旅慣れた二人の機転のたまもの。

 ホテルに帰りがてら見上げた空には霞がかった満月。霞の陰影のせいか、ハローウィンのお化けかぼちゃのように月が笑っていた。


 7月のウェブサイトを更新しました。初夏、自転車に乗って多摩川へ散歩したときの写真たちです。http://www.mu-cyo.com/
Commented by いくた at 2007-07-03 12:13 x
わしの生涯の夢。
それはお伊勢参りをすることです。

たとえ秘宝館が閉館したとしても。
Commented by マンタ市 at 2007-07-03 19:08 x
伊勢神宮は以前いきましたが大変素晴らしいですな。先月日本3大神宮と一般的にいわれている残りの2つ千葉の香取神宮と茨城の鹿島神宮に行きましたが、どちらも大変に素晴らしいのですが、やはり伊勢神宮の雰囲気が一番素晴らしいと思いました。
ワシも伊勢うどん食べたくなりました。あの食感はクセになりますな。

全然話が変わりますが、夏場はパソコンのハードディスク突然ぶっ壊れます。外付けハードディスクにバックアップ+DVDメディアにもバックアップ取って万全を期したほうがよろしいぞ。
(以前ハードディスクの復旧に数十万かかりました。)
Commented by okimiyage at 2007-07-04 21:43
お久しぶりです。いい旅でしたね。お伊勢さんまで来られていましたか・・・。観光地めぐりではなく、地元の生活に溶け込んだ旅は、「旅行」ではなく「旅」とよびたいですね。むーちょさんのブログで、私も行った気分になりました♪
Commented by suiryutei at 2007-07-04 21:49
こんばんは。
ううむ・・・いい旅をなさったようですね。写真は穴子の寿司ですか。美味しそう。
Commented by naomu-cyo at 2007-07-06 07:08
いくたさん・・・米子からだとけっこう遠くなるのかしら。等yこうからは5時間かからないで着くエリアでしたが。是非行ってみてください。そして秘宝館との比較レポートを!
Commented by naomu-cyo at 2007-07-06 07:11
マンタ市さん・・・残りふたつは千葉と茨城ですかー。なんて場所に偏りがあるのだろう・・・。鹿島はアントラーズの選手が毎年必勝祈願するところですね。
 Mac、絶好調な感じではあるのですが、またキャリブレーションをとり直さねばならず、設定もいろいろ入れ直さねばならず、そしてアプリケーションのバックアップの仕方がどうやら間違っていたようなので、もう一回そのへんをやっておかねばです。使い易くするまでの手続きがほんと面倒!(心底そう思います)。叩き壊したくなるくらい、ほーんと面倒!!!
Commented by naomu-cyo at 2007-07-06 07:13
okimiyageさん・・・観光地に行くと、じゃあここに暮らす人たちのふだん使いの店はどこなの?と興味がわきます。できれば観光地とその生活場所の格差があまりないところが好きですねー。
Commented by naomu-cyo at 2007-07-06 07:15
酔流亭さん・・・しみじみとしたいい旅でした。のんびりなのでばっちり写真も撮れましたし。父と旅行だとこうは行きません。もうせわしくてせわしくて!あるだけの観光スポットをいかに効率よくめぐるか、という旅行になっちゃいますから(笑)。穴子の押し鮨、絶品でした!お醤油にもバリエーションがある土地柄なせいか、味が多彩なのです。素材の味が生きてました。
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by naomu-cyo | 2007-07-03 08:49 | | Comments(8)