フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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大好きな「嵐が丘」を落語で聴く〜立川志らくのシネマ落語〜

 なんでこうも疲労感どっぷりなんだろうと帰りの電車で一日を振り返ってみた。

 失敗その1。寝付きが悪かったうえに怖い夢で目が醒めた。まともに睡眠をとれてない。戸締まりして寝たはずなのに全く戸締まりができてないという夢。不法侵入された過去がある身としてはこれはとても恐怖。目が醒めて即戸締まりを確認したのは言うまでもない。

 失敗その2。午前中の仕事が一本あって朝食をヨーグルトのみで済ませてしまった。エネルギー源に全くならず。

 失敗その3。こないだ一目惚れして購入したガーリーなお洋服を着る。で、上がガーリーだから下は甘くならないようにとやや無理のある細身の黒いパンツにパンク好きな人が履きそうな重たいハードめなブーツを着用。一日足が重かったうえに暑いこと暑いこと。

 ・・・とまあ失敗はあれこれ。でも二本の仕事は無事やりとげる。体育会系カメラマンとしてはこの暑い時期はいろいろ用心しないと身体がもたない。身なりよりも快適さを優先、ご飯はしっかりとらねばだ。反省。

 撮影後事務所でもちうるかぎりの集中力を発揮してデータのセレクト。あまりの量にのけぞりそうになる。大慌てなのは夜、紀伊國屋ホールで立川志らく師匠の「シネマ落語」の会があるから。今回は「嵐が丘」。この作品が大好きなわたしとしては遅刻なんてしたくない。で、開口一番の志らべさん「高砂や」のさわりの部分で滑り込む。

 開口一番 立川志らべ 「高砂や」
      立川志らく 「宿屋の富」
      立川志らく 「化物使い」
 仲入り
      立川志らく 「嵐が丘」
大好きな「嵐が丘」を落語で聴く〜立川志らくのシネマ落語〜_a0025490_0132995.jpg
 今日がんばったのはこの「嵐が丘」のためだったんだわ、と心底思った。素晴らしかった。「嵐が丘」という長い作品の要の部分がしっかり組み込まれ落語化されて実に豊かで叙情的な噺に転じていた。キャシーもといお菊が下男相手に語るヒースクリフもとい七之助への思いなどは原作に忠実で、この作品を読んだ当初その言葉に赤いラインを引いた自分としては感無量。「わたしは七之助なの」という一言(レイフ・ファインズとジュリエット・ビノシュが出演した映画「嵐が丘」では「アイアム ヒースクリフ」だった)に至るまでにふたりが重ねてきた時間を志らく師匠の高座からひしひしと感じ取れた。高座の上で何十年もの月日が澱みなく流れ、お菊亡き後も彼女に執着し幽霊になってでも自分の前に現れろとのたまう七之助の激しさも強く強く伝わってきた。もちろんそこは落語だからところどころに笑いも散りばめてあるのだけど、それもまた素晴らしかった。

 明日は起床が4:00。さて余韻に浸りながら今宵こそぐっすり眠ろう。お菊の幽霊に逢えて喜ぶのは七之助だけでいい。あたしは怖い夢だけは勘弁だわ。

 

http://www.mu-cyo.com/ ウェブサイトを更新しました!旅写真から離れて久しぶりに日常写真を。6月から7月の間に撮った写真たち、武田百合子の「日々雑記」にあやかって「日々雑写(にちにちざっしゃ)」と名付けてみました。
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by naomu-cyo | 2008-07-29 00:14 | 落語 | Comments(0)