フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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「同志」と呼ぶんだろうな。

 土曜日、お世話になっているプロデューサーM氏の会社設立一周年バーベキューパーティーにお呼ばれ、逗子へ行く。何か手土産をと思い、駅前の花屋で真夏をビジュアル化したパンチの効いた花束をこしらえてもらい、仕事仲間のデザイナーK氏とその友人E氏とともに会場へ。逗子、初めてじゃないけど海まで歩いてみて、この街の風が抜けてゆくところに心地良さを感じる。海沿いの街でも故郷とはまるで違う感触。

 何度かお目に掛かった人もいて、改めて挨拶したりおしゃべりしたり。一度M氏の事務所で挨拶したことがあるフォトグラファーのT君とちょこちょこ話をする。彼の作品が展示されたりモニターで流れていたりしたのだけど、とても素敵なポートレイトを撮る。現場の雰囲気はどんななんだろう、どうやってこんなにキラキラした写真が撮れるんだろう・・・そんなことをあれこれ思いつつ眺める。

 同じような機材を使っても撮れる写真はさまざまだ。わたしはわたし、あなたはあなた、なんだけれど、素敵なのを見せられると正直「あたしはこのままでいいのかしら」と思い気持ちが波立ったりする。それで宴もたけなわの頃「あたしはライティングして素敵に撮るってことが上手じゃなくて自然光が好きだからそればっかりで撮ってるんだけど、T君の写真とても素敵だよね」というようなことを当のT君に話してみた。本人はけっこう酔い酔いだったから話したことを憶えていないかもしれないけど、「そんな器用になんなくてもいいんだよ。自然光で撮るなら自然光で撮るでいいと思う。なんでもかんでも知らなくていいんじゃないかな」とニコニコなんだか酔っぱらってへろへろなんだかな感じで話してくれた。

「同志」と呼ぶんだろうな。_a0025490_1210370.jpg
 ある落語ファンの人が自身のブログの中で「武藤さんの噺家さんの写真は乙女回路で撮っている感じがする」というようなことを書いており、それを読んで「納得!」と我ながら思ったわけだけど、T君の話してくれたことや「乙女回路」のことなどをひっくるめ、それでいいんだろうなあって改めて思った。表現としてそれを「型」にしちゃうとまた別の問題になってしまう。結局シャッターを切るのは自分でその瞬間を判断するのは自分なのだから、判断の方向性が変化してきたら写真も変化してゆくのだろうけど、今はまだその変化が訪れない。ということは今のアプローチが今の自分には必要なのだろう。無理に変化を望むことはない。自己の中で必要が生じたならその変化だって自然と訪れるかもしれない。

 朝ご飯の後に水ようかんを食べながらT君の話を思い出し、このようなことを考えていた。きのう幾人かの同業者と言葉を交わしたおかげで、ほったらかしのままの写真の整理に着手する気力が湧いてきたし、2008年残りの4ヶ月にやっておきたいことが見えてきた。同業者はライバルじゃなく、同志であり真の理解者なんだ。素敵なフォトグラファーに逢うたびその思いを強くする。


 ウェブサイト更新しました!今月は若手噺家・立川志ら乃さんの真打ちをめざす姿を撮影した写真たちです。http://www.mu-cyo.com/
Commented by なつみかん at 2008-08-25 11:34 x
「乙女回路」!これ納得です。
むーちょさんの写真とブログを見てると、まさにそんなかんじがします。
いつまでも、初々しさを感じます。
Commented by naomu-cyo at 2008-08-26 03:56
なつみかんさん・・・永遠の少女漫画ファンみたいなニュアンスがそこに・・・。たしかに噺家さん撮るとき毎回ときめきまくってます・・・ばればれ。
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by naomu-cyo | 2008-08-24 12:20 | 逢った人のこと | Comments(2)