帰京、そして夜が明ける。
2009年 01月 06日
それにしてもよく寝た。朝ご飯を食べてそのままごろり。昼は干しいもをつまんでまたごろり。夕飯食べて飽きずにごろり。お風呂入りなさいと起こされ目が冴えて物置化したかつての自分の部屋で深夜放送を見ているうちに爆睡・・・を繰り返した。立ち上がると軽くめまいがするくらい地べたと懇意にしていた。そしてよく食べた。暇さえあれば蜜柑やせんべいを食べていた。
深夜放送、けっこう面白かった。立川談志師匠の特集で「芝浜」に感激したり「怨み屋本舗」を真剣に観たり。ふだんあまりテレビを観ないけど正月はやたらと観た。駅伝はもちろん、高校サッカーも。そして大河ドラマ「天地人」。なかなか面白そう。笹野さん演じる秀吉がただの爺さん風で威厳なさすぎな点を除けば、時代劇にぴったりの好きな役者がたくさん出ていて楽しめそう。阿部ちゃんの謙信はかなり素敵だ。直江山城守兼続の情報が「花の慶次」にとどまっているので藤沢周平の「密謀」を購入してみた。
母と一緒に水戸の美術館で「ナポレオン展」を観る。さまざまな表現手段でナポレオンの姿かたちが残されているけど、どれにも共通しているのが鼻筋がつぃーっと通っている点。ナポレオン本人はよほど鼻筋にインパクトのある人だったのだろうと思われる。ナポレオンの人生を追ったこの展示をつぶさに観て感じたのは、古今東西奢れる者は久しからずであるのだなあということ。そして彼が人望を失っていく様は秀吉のそれに酷似しているように思えた。
特急で東京に向かう。車内で佐野洋子さんの「私の猫たち許してほしい」を読む。彼女の随筆集は何冊か読んだことがある。正直な物言いがとにかく気持ちいい。カバーの裏に「1988.4.25渋谷紀伊國屋書店にて 博子」の書き込み発見。20年以上前にどこかの博子さんがこの本を渋谷で購入し、2008年のクリスマスに代々木上原の古本屋でわたしが購入した。その間どうしていたんだろう、博子さんの手元にずっとあったんだろうか。
「次郎長(作者の学生時代のあだ名)、もうちょっと待ちな。今はまるきりだめだけど、二十七になると、お前はいい女になるよ。その時は、安物でなくて仕立てのいい洋服が似合うよ。二十七まで辛抱しな」と励ます男友達。「なのに私は二十七までなんか待てなくて、仲間の一人を好きになってしまった」。「そのきちんとふせた茶わんにかかっているまっ白な布巾を見たとき、ショックを受けた。ああ、私とGちゃんは駄目なんだと思った。背の高さが不似合いなのではない、性格が違うからでもない、もっと目に見えない何かの違いが、けっして交わらないだろう何かが、私にはわかった。二十七になって、仕立てのいい洋服を着ても駄目な何かだった」。「けっしてGちゃんと私が、友達以上の関係にならないだろうということがわかっても、私はGちゃんを好きであることを止めることが出来なかった。私はますます切なくGちゃんが好きであった」・・・心の有り様をこんなふうに淡々と、でも幾分当時の熱をこめて綴られたら読んでいるこっちが切なくなってしまう。
佐野洋子「私の猫たち許してほしい」(Libro)から引用させていただきました。
(写真上から:水戸の美術館にて/正月に差し歯の抜けた父/完成したバイパスと海の風景2枚)
佐野洋子、いいですね。
でも結構辛い文章があるのですよ。今大病中ということだし。
でもとにかく元気そうで何よりです。
上記の抜粋だけで何だか私もハッとさせられたよ。
私もよく食べてた。しかもよく寝た。
年末年始で更に太って鏡を見るのが嫌になっちゃいました。
今年は身体をしめる方向で頑張るよ。
上記の佐野洋子さんの作品の抜粋だけで、でした。