午後、京阪電車に乗って初めて京都の南側へと向かう。「中書島」下車、夜はスナック街へと変貌するであろう通りを抜けて行くと繁華街に出る。途中、幕末名所のひとつ「寺田屋」に遭遇!外観だけでもと急ぎ撮影する。
この街で長いこと商いを続けているお茶店へ。外観も内観も相当古い。訊けば天保の頃に棟上げしたんだとか。そこで五代目の若旦那が取り出したのは年号と天皇の対応表。名前は忘れたが幕末の孝明天皇のお父さんの御代に店ができたという。これまた大昔な・・・と思っていたら、四代目のおかみさんが「秀吉はんがこの伏見に城をたててから」と話し始める。3つの川が行き交うかの地に城を構え伏見を発展に導いた秀吉を「大した目利きだわ」と褒めていらした。清水の辺りで生まれ嫁入りして住んでみたら伏見はたいそう住み良かったという。とにかく水がいいと。おかみさんのお召しものや店内のそちこちに代々使い続けてきたという大島などの織物が使われていた。お茶の撮影に使わせていただいた布地も大島だった。着物として着用できなくなっても脈々と続く織物の歴史。それを垣間見られたのもすごく嬉しい。
取材を終えて駅へ向かう途中の八百屋で鳴門は里浦の鳴門金時の焼き芋が売られているのを発見。先月の鳴門取材で撮影したさつまいもだったので、思わず購入し歩き食い。その後ホテルにチェックインして夕ご飯の時間近くなっても一向におなかが空かないので、散歩がてらかねてより計画していた八坂神社へ遅い初詣に向かう。もうすっかり夜なのに境内には人がたくさん。お賽銭を投げて願い事をつらつらと。願い事の数に見合わないお賽銭であることはたしかだ。そこから四条烏丸方面に向かい、途中着物用の防虫香を買い求め、鴨川にぶつかったところで今度は川沿いを五条大橋方面にひた歩く。以前仕事で来たときに担当者に教えてもらった川沿いのカフェ・efishへ。別に京都感漂いまくりな店ではないけれど、とても落ち着く素敵な場所なのだ。三度目まして。
そして過去二回同様、オクラと豆のカレーにコーヒーを頼む。真っ暗な鴨川を眺めながらぼんやりしていたら店員さんに話しかけられた。お茶の取材で来たこと、前にもこの店に来たことがあるなどを話す。懇意にしている人形作家さんが今度東京で個展をするというのでそのDMもいただく。帰り際店内で猫のキーホルダーと手ぬぐい、鳩の箸置きを購入。箸置きは近所に越してきた新婚カップルのお土産に。最近猫グッズに目がない。見つけて好きなテイストだと何も考えずに購入してしまう、家に本物がいるってのに。
そこから腹ごなしにホテルまでぶらぶら。去年京都音博に来たときに泊まった町屋宿が案外近いことを知る。月が冴え冴えとしていて良い散歩だった。