フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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先人は偉大なりけり

 早速きのうの現場でノートパソコンを使用。といっても画像確認用として。取り込み速度が速いうえに画像の展開も速い!撮影の帰り、制作会社に寄ってADさんと写真のセレクト。納期が迫っている仕事なので、デザインラフを見ながら一緒に写真のセレクトができたのは時間短縮にもなってよかった。

 被写体は飛行撮影家の素敵なおじさま。インタビューを撮りながら伺ったこれまでの経緯や撮影逸話はとても豊かで刺激的なうえに、ご本人の撮影観もひじょうに明快で、映像とスチールの違いはあれど、ファインダーをのぞく商売をしているこちらにとってもありがたいヒントがたくさんで、すっかり魅了された。なんて素敵な人なんだ!

 インタビュー以外のカットもあれこれ撮って撮影終了、お別れの際にお会いできて嬉しかった気持ちや感激したことなどをなんとかうまく伝えたかったけど、言葉がうまく出てこなかった。そんなわたしにその方は「基礎はあるわけだから、あとは撮りたいように好きに撮るだけだよ」と言葉をかけてくれた。第一線をゆく方はみな同じようにおっしゃる。立川志らく師匠もそう本で述べておられた。

先人は偉大なりけり_a0025490_14321165.jpg
 やりたいようにやる、のは簡単にできるようでけっこう難しい。好き勝手やっている気もするけどそれは生活スタイル的な側面であって、ファインダーの中で自由かというとまだまだ程遠い。自分の中に勝手にこしらえた固定観念にとらわれている節が多々見られる。自分の好きなようにというのは一体どういうものなんだろう・・・と思う。飛行撮影家の方も、撮る前はあれこれシュミレーションするのにいざ飛び立ったら考えていたことが全部吹っ飛んでいる、と。それは無の境地に近い・・・というようなことを話されていた。今この段階でわたしの好きなようにとは?と考えてみたって、ひとたび撮り始めてしまえば忘れてしまう。それは被写体によってめまぐるしく変化していくものだろうと思う。被写体を前にしていかに自由であるか。どれだけ集中して直感を研ぎすませて臨めるか・・・なんだろう。

 飛行撮影という毎回一歩間違えば死ぬような状況にも関わらずぎりぎり一歩を踏み出さないと撮りたい絵が撮れないんだというお話を伺い、まるで「花の慶次」の世界だわーと思った。相手の間合いに一歩踏み込むとか、命のやりとりとか、そういう表現が作中に度々出てくるけど、被写体である風景を相手に命のやりとりをしているんだとおっしゃっているかのようだった。そうした心持ちで撮られた映像はきっとものすごい迫力に満ちたものだろうと想像がつく。

 フレームの中で自由を得たその先にあるもの、見えるものって何だろう・・・。そんなことに思いを馳せていたらむしょうに旅に出たくなった。こういう抜けのいい心持ちはほんとに久しぶりなので、なんだかとても気持ちいい。
Commented by デニー at 2009-02-05 00:03 x
やっぱり、むーちょさんの日記が面白い。っ、てか好きです。「花の慶次」はやばいです。止まらない。の中で自由を得たその先にあるもの、見えるものって何だろう・・・。は、グランブルーを思い出して、またやばいです。
Commented by naomu-cyo at 2009-02-05 18:04
デニーさん・・・お褒めいただき光栄でございます。やばいでしょ、「花の慶次」!かっこいいのですよー。超理想のタイプです(ってこういうこと言っているからやばいんだな、あたしは・・・)
 ファインダーの中の自由はまだまだ遠い境地です。いつかたどり着けることを信じて前を向くしかないっすねー。
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by naomu-cyo | 2009-02-04 14:32 | 逢った人のこと | Comments(2)