先日A氏と渋谷パルコで開催中の「バラハク」へ。尊敬してやまない漫画家・西原理恵子の作品展。さかのぼること数年前、本屋で平積みになっていた「できるかなV3」を手に取ったあの瞬間から、のめるように西原作品の虜になった。
身体をはった数々のギャグ、勝負するところが決して画力ではないということ、装飾のないまっさらなしかも核心をつく言葉の数々、時折見られるきつめの下ネタ、西原理恵子作品を構成するすべての要素(こんなフレーズ、ミスチルの歌にあったなあ・・・)が大好きだ。無二の漫画家、無二の女性。彼女の作品に接していくたびもいくたびも目からウロコが落ちまくった。
自分の生活のみならず周囲の人の生活をもさらけ出す。単なる露悪趣味じゃない、そこに生身のひとりの女性が髪振り乱しながら泣き笑いしながら奮闘し続けている姿が見え、そして彼女の哲学が感じられて、それに触れるたびにかっこいい!と叫ばずにはいられなくなる。彼女はわたしにとって憧れの女性なのだ。
「バラハク」で展示された作品の数々の中にはまだ読んでないものもあったので丹念に読む。西原版PLUTO「うつくしいのはら」がもう言いようのないくらいに美しく哀しい物語で、おいおい泣きたくなった。この人が紡ぐ物語の目線が好きだ。登場人物たちがどんなにテンションが高くても、作家自身が特定の人物にのめりこみすぎず感情的になりすぎず、観察者のように淡々と綴る。でもその目線には温かい厳しさ、優しげなクールさが感じられる。「うわっ」て何度も思う。そして絶句してしまうのだ。
会場で「パーマネント野ばら」(新潮社)と「うつくしいのはら」収録の「営業ものがたり」(小学館)を購入。「パーマネント野ばら」を電車の中で読んでいたら心がゆるんで窓外の景色がぼやけて見えた。「人のこと悪うにゆうたら 悪いことばと悪い気持ちに、自分がダメになると思うのよ」「今日もな、今日もな、私は100点満点がまんしたって思うから、80点分でええから誰かにほめてほしいのに けどな、けどな私のことなんか誰もみてくれないしほめてもくれへん 生きていくのをほめてもらうのはあかん事なんやろか」「20年で満タンになったんや 女の心は定期預金やからなあ」「さいごの恋 少年と少女が出逢う恋じゃなくて もう何ものこっていない恋」「人はなあ二回死ぬで 一回目は生きるのがやまってしまう時 二回目は人に忘れられてしまう時や」・・・どう素晴らしいのかを言葉で表現するのが難しい。しのごの考える前に心をきゅっとわしづかみにされるから。そしてその後はただむやみに涙がこぼれ、ひとしきり泣いた後に吹く風の心地よさといったらない。
親愛なる西原理恵子さま、いつか被写体とカメラマンとしてお逢いできる日がやってきますように。あなたにお逢いして心から大好きを言いたいのです。
久々にウェブサイトを更新しました!今回は松山の桜たちの写真です。
http://www.mu-cyo.com/