来週末に迫った親友Yの結婚式。「武藤〜、スピーチ枠がひとり増えたのよ。あなたにやって欲しいんだけど」とある日電話をもらった。断るのもなんだから「はいよー」と安請け合い。が、しかし・・・
少人数でのたわいもないおしゃべりならいくらでもどこまでもしゃべり続けていられるが、衆人環視の中でまともな話をするというのが大の苦手で、メモを見ながら下を向きっぱなし、抑揚もなく聴く人のことも考えずさっさとしゃべって予定時間の半分で終了、なんてことがリアルに想定できるので、これはいかんどうしようと考えていたら、アイデアがぽかんと浮かんできた。
彼女を撮った写真をプロジェクターで流せばよいではないか!
はじめにおめでとうの言葉と出逢いのきっかけなどをちょろっとしゃべり(これくらいはメモなしでできるだろう)、あとは「ちゃんとしたことを話すのが苦手なので、彼女を撮った写真を見てください」で済ませてしまおう、そうだそうだ、と思いつき、彼女を撮った写真を探す。最初の頃はポジフィルムで撮っていて、日付を見たら1998年。写真を始めて2年目あたりの頃だ。うちのスキャナーがフィルムを読み込まなくなってしまったので、急遽近所の京子ちゃんちに駆け込みスキャンしてもらいデジタルデータ化する。今までにちょこちょこ撮ったものを集め並べてさあどうしようと頭をひねった。
先方はプロジェクターで流すのにDVDで欲しいという。ってことはだ、編集作業が必要だ。ただ流すだけじゃなんだから音楽もつけたい。ハードルが上がる、あたしには無理、新しいソフトのことを勉強する余地なし・・・ってんで、「助けて松尾さん!」と、映像作家松尾博司氏に助けを求める。そういえば以前にもイベント用に写真で構成した映像作品を作っていただいたのだった。「あいよー」と快く引き受けてくださる。
全部で39枚、3分そこそこに収めたい。流す曲はCoccoの「しなやかな腕の祈り」。どうしてもこの曲が使いたかった。大好きな彼女の音楽世界の中でも強烈に母性を感じるこの曲に合わせて写真を見せたかった。が、この曲は5分以上ある。写真の順番と音楽だけ決めて、あとは松尾さんのセンスにお任せした。二日後できあがってきたテストを見て、さすがだなあと思った。細かいことを言わなくてもこちらの漠然とした意図をきれいにくみとってくれた。助かった!やはり餅は餅屋なのだ。
仕事の現場では編集者やアートディレクターに助けられ、こんなときには映像作家さんに助けられ、と、写真だけあってもどうにもならん場面はいくらでもある。支えてもらいながら好きなことをしているんだなあと改めて感じ入った次第。それにしても・・・昔自分が切ったシャッターのほうが今より思い切っていて面白い気がするぞ。昔の自分の感覚も今の自分の感覚もうまく溶かしこんで撮っていきたいものよのーう。
松尾さんの映像作品はこちらで見られます。
http://www.guba.com/user/DolphinRocket/