フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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結局ブルースのライブを聴きに下北沢へ

 ライブでその姿を拝むと「嫁にもらってくれ!」と心の中で叫んでしまうミュージシャンが今のところ三人程いる。ひとりは「くるり」の岸田くん、もうひとりは「ピンクテイルカラシンズ」のりつさんで、三人目の「PONY」のギタリスト・ROCKYから珍しいことにきのうメールがきた。ブルース・ライブのお誘いだった。

 きゃあ、ROCKYからお誘いだわ!と瞬間テンションが上がったものの、待てよと思いメールのCCを確認すると、ずらずらっとPONYのメンバーの名前が。わたしだけお誘い、ではなかった。そりゃ当然だわなー。日曜日中に体調の改善に是努めるのでその様子次第で行くよと返信する。

結局ブルースのライブを聴きに下北沢へ_a0025490_1231439.jpg 動けるのに一日中寝くさっているのがどうもできない性分だ。結局ふつうに起きてご飯を食べてその後ずっと腹ばい読書に没頭して一睡もしなかった。読み始めたての三浦しをんさんの「秘密の花園」も読み終えた。えらいこと面白かった。たくさんの言葉が胸にささった。眠くならないくらいだから体調も良かろうと思い、暗くなる頃に出かける準備を始め、ライブが始まる直前に下北沢のCOLORED JAMに滑り込む。奥の席にROCKYが座っており、少ししてウッドベースのボブがやってきた。久しぶりに愉快な二人に逢ってとても嬉しくなる。お互いの近況報告やPONYのライブ予定などを話すうちに、この夜の主役・町田謙介氏とほかのメンバーが登場した。

 わたしの数少ないブルース体験の中で聴いたのとは雰囲気がまるで違う曲から始まる。町田氏のブルースは「陽」な雰囲気が感じられて、それは彼の歌声にもよるのかもしれないと思った。聴きながら、先月京子ちゃんと行ったボリビア音楽のライブを思い出していた。そのときに民族音楽には魂の解放が感じられるというような話をした。PONYの音楽を聴いているとブルースにも同様なことが感じられる。やりきれない日々の思いを音楽に託すことで生まれた音楽。そういう思いは状況の違いこそあれ、哀しいことに世界共通なのだろう。だから詩が生まれ音楽が生まれたのだろう。町田氏たちのライブを聴きながら感じたことを頭の中に並べる。そして一部が終了し休憩タイムの合間に感じたままを言葉にしてみた。長くブルースに関わっているROCKYとボブは、わたしにもわかるようかみくだいていろいろな音楽の話をしてくれる。そこからどんどん話題が展開していくのがとても興味深かった。

結局ブルースのライブを聴きに下北沢へ_a0025490_1223129.jpg ゲストで参加したサックスの片山氏(おっちゃん)の音がめちゃめちゃかっこよかった。音の厚みもすごいがリズムがひとつひとつスタッカートを打ったみたいに跳ねていて、ボルテージの上がる町田氏のギターとおしゃべりしているみたいだった。この即興感にたまらなくわくわくする。そこにバイオリンやパーカッション、コーラスが絡んで、狭いハコの中からはみ出しそうなものすごいパワフルな演奏が展開されていった。楽しい!気持ちいい!ここ最近忘れていたこの種のわくわく感に身を浸す。そうなのだった、最近のわたしはしょうもないことをいちいち気にして、心の中がどろどろしていたのだった。心も世界もきゅうきゅうに狭くなっていたのだった。自覚しているのにそれをどうしていいかわからずもて余していたのだが、この夜ライブを聴いているうちに、そうした心理状況から次第に解放されゆくのをひしひしと感じた。ブラボー、町田謙介!ありがとう、ROCKY!

 きっとこれから何度もちまちました思考迷路にはまりこんでしまうことがあると思う。これまでもそうだった。そしてそのたびにそこから解き放たれるのには苦戦を強いられた。せめて考えても仕方がないことを延々と考えてしまう回路は断ちたい。町田氏が歌っていた、「LISTEN TO BLUES」。それはきっとひとつの解決方法なのだろう。狭まった世界を押し戻して広げてゆかねば。窒息しないように。風通しのいい心持ちで日々に向かえるように。ちゃんと感じられるように。
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by naomu-cyo | 2010-06-21 01:23 | 音楽 | Comments(0)