フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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柳家小三治独演会にゆく。

 16日。連日のハードワーク最終日。最後の被写体を撮影し終えたとき、胸中にやりきった充実感が満ち満ちた。

 さくさくと片付けをして、声高らかに「お疲れさまでした、ありがとうございました!」と言い、近くのビルの喫煙所でお疲れさまの一服をし、事務所に急ぎ帰ってデータをHDに落とし、向かうは大井町のきゅりあん大ホール。久しぶりの小三治師匠の独演会なんである。落語仲間6人で出かけた。

 柳亭燕路  「だくだく」
 柳家小三治 「品川心中」
  仲入り
 柳家小三治 「粗忽長屋」

 あー、満足。小三治師匠が楽しげに元気に長々とマクラを語り、軽妙に「品川心中」を途中まで、そして「粗忽長屋」をぽんぽんと。嗚呼、もう言うことない。幸せなひとときだった。幸せ過ぎて長いマクラの途中でとろとろと眠気を催してしまったが。

 この日は前座さんが入っていなかったようで、開口一番の燕路師匠が座布団返しとめくり返しまでやっていらした。なんとレアな光景よ。「だくだく」という噺は燕路師匠のがいちばん好きなので、それもまた嬉しかった。小三治師匠の「品川心中」は初めて。心中相手を吟味しているお染ちゃんのちゃっかりしゃあしゃあとした感じがいい。この噺が陰気でなくなるから。

柳家小三治独演会にゆく。_a0025490_239746.jpg
 「粗忽長屋」。ありえないくらい馬鹿馬鹿しい噺なんだけど、「ありえないでしょう」としらけさせてしまった時点で面白くなくなる噺だと思う。そこは小三治師匠、透徹した馬鹿馬鹿しさを醸し出し、ありえなさよりも、こんな人たちがいると楽しいよなあと思わせてくれる。すっとぼけた感じの間が絶妙で、そこにはおかしみがふんだんに詰まっていて、おのずと笑いがこぼれる。そういう点でいえば、燕路師匠の「だくだく」もまさにそうだ。意図されていないおかしみを感じる。意図があったにしても、その意図をきれいに消し去って意図されてない感を出しているのかもしれない。その辺はよくわからないけど、紛うことなき「芸の力」というやつなんだろう。

 小三治師匠の高座に接すると、落語が楽しいというのはもちろんのこと、生活が楽しくてたまらないという感じがじゅんじゅんと伝わってくる。生活のあれこれがすべて落語につながっているような高座、という感じ。師匠の高座を通して師匠の生活を垣間見ているよう。座布団に座っておしゃべりするという至極シンプルなスタイルだけど、落語が抱える宇宙って壮大だ。


 ウェブサイト内のギャラリーを更新しました。http://www.mu-cyo.com/
Commented by oka-chan at 2010-08-19 08:23 x
先夜はお誘いありがとさんでした〜。至福のひとときでしたよ。私も小三治師匠の「品川心中」は初めて聴きました。高座着もよかった。
でも、何よりも、師匠がご機嫌さんで話すのを見れたのが一番嬉しかったかもです。また誘ってくださ〜い!
Commented by saheizi-inokori at 2010-08-19 09:10
先日池袋のトリで小三治が珍しく滑ってまったくのらなかったという話をききました。
私が行った日はすばらしかったのですが。
会長になったり夏の連続高座で疲れているのかとしんぱいしてました。
この記事でちょっとほっとしました。
昨日は鈴本の権太楼「宿屋の仇討」、とばしましたよ!
Commented by naomu-cyo at 2010-08-20 12:26
oka-chanさま・・・キュ〜ン、でしたねー。満足満足・・・。翌日鈴本の夜席にW嬢と行って参りました。前夜のカラオケは健全に2時間で終わったそうです〜。
Commented by naomu-cyo at 2010-08-20 12:27
佐平次さん・・・鈴本は17日に行きました!今年の鈴本のさん喬権太楼、チケットの売れるのが速かった!あっという間に前売り売り切れ続出でしたもーん。
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by naomu-cyo | 2010-08-19 02:39 | 落語 | Comments(4)