「東京を愛する仕事」ポスター、第四弾登場。
2010年 10月 30日
今回のビジュアルは捜査一課の刑事さん。自ら事件の加害者か被害者、またはその周辺人物にならないかぎりなかなか逢えなさそうな立場の人だ。まあ、逢えないほうが幸せな人生なのだろう。わたしの場合刑事さんに逢ったのは過去三度。一度目は不法侵入に遭遇した13年前、二度目と三度目は去年と今年の採用ポスター撮影のとき。一度目は年の瀬も押し迫った12月だった。刑事さんはトレンチコートの内ポケットからやおら警察手帳を取り出しこちらに示した・・・「成城警察です」。歯の根が合わないほどに動揺していたってのに、「あ、やっぱりそこから手帳出すんだ、ドラマみたい」と思ったのを憶えている。
こんなふうに完成形を客観的に眺めてみると、カメラマンってつくづく面白おかしい変な仕事だなあって思う。以前、「きのうはなんの撮影だったんですか?」と尋ねられ、「かまどご飯です」と答えたその現場では、子ども服ブランドのカタログ撮影をしていた。人も動物も食べものも物も空間も、撮れるものはなんだって撮るけど、それぞれがかけ離れている気はしない。興味のあるもの、撮りたいもの、面白いものってところでくるっとまとまっている気がするから。
先日のクライアントさんが韓流スター・RAIN君のファンだった。数年前に彼が登場するゲームソフトのパッケージビジュアルを撮影したことがあったので、それを見せたらえらく感激された。そういえば、わたし自身がファンでたまらない対象を撮る機会にはまだ遭遇していない。一時期あまりに「くるり、くるり!」と騒いでいたら、「いくらカメラマンでもコアファンには撮影依頼しないって」とディレクターをやっている友人が言っていた。そ、そうか、そうだよな、ファンってある意味かなり危険人物だもんな。それに、「滅法好きでたまらん!」な時期を通過したほうがいい写真が撮れそうな気もする・・・ファンであることは秘めておこうぞ・・・うんぬんかんぬん・・・。
そんなこんなしていたら、最近「好きで好きでたまらん!」がなくなってしもうた。そこそこに好き、そこそこにはまってる、ばかりのちょっとぬるい状態。一点集中猪突猛進よりも今のような平均してぬるくはまっている状態のほうが出費はかさむ気がする。嗚呼、ぶっ飛ばしたいのーう・・・とか言えるくらいには仕事が落ち着き始めたのだから暗室こしらえて写真焼こ。どこに繋ぐかわからんコードが引き延ばし機から数本出てきた・・・。