「きもの青木」、プレオープンへ。
2011年 10月 23日
先着30名に配られる伊兵衛織の鼻緒目当てが、探していた理想的な格子柄のきものに遭遇、我慢しきれずに購入に至る・・・。今年はこんなことが度々あって、そのたびに「あかん、あかんで!」と押しとどめる声が脳内でこだまするのだが、「二度と出逢えないかもしれへんで〜」と背中を押す内なる声に、結局根負けするのだ。何戦何敗だ?欲望に負けっぱなしな気がするのは、気のせいではあるまいよ。あれもこれも、だ。
いやいや、うんとこさいいものを手に入れたぞ、と早速着てみて実感する。現在30代後半で、今後ずっと着ていくのにはぴったりだ。地味すぎず若すぎず、実直一点張りでもなく、帯次第でいくらでも表情を変えてくれそうな、一緒に年を重ねていきたいと心底思えるきもの。ばあさんになるときには、きっともっと柔らかくなるだろう。それにしてもいい糸味だ。しゃらんとしたきものが似合わない自分には、こんな織物が着ていて落ち着く。
この日は昼過ぎに雨が止んだけど心配だったので、木綿のきものと帯で出かけた。そしたらお店にいらした常連の女性二人に「この帯見たことあるんですけど」と声をかけられた。某きもの雑誌の自分が撮影担当したページで使ったことがあったので、その旨伝える。お二人は愛読者とのこと。それがきっかけできもの談義に花が咲く。時に店長さんも加わって、楽しいったらない。気付けば店内はきもの熱に冒された、買う気満々オーラ漂うお客さんでいっぱい。お互い一片の素性すらわからないのに気軽に声を掛け合う。「それ素敵な帯ですね」とか「いい色〜!」とか「似合いすぎ!」・・・なんて。自分には似合わないきものや帯も誰かにとってはぴったりだったりするわけで、自分が着るのも好きだけど、人が選んだり着たりするのを見るのもとても好きだ。
後ろ髪ひかれつつ、すっかり意気投合したお二人とお別れし店を出る。またやらかした、と思うけど、店長のおっしゃる「きもの熱はもう不治の病だから、あきらめなさーい」の言葉は至極もっともなので、ま、いっか、頑張って仕事しよ、とるんるんなのだ。