石井ゆかりさんの「好きなもの」
2012年 10月 09日
きのうは石井ゆかりさんだった。石井さんは「しめ鯖」と「本の頁の角」と「青インク」を挙げていて、うち「しめ鯖」のところにひじょうに面白いことが書いてあった。
「私には『好きなもの』というのは心当たりがないのだ。『愛好』というような爽やかな距離感でものに接することがまず、ない。(中略)『好き』などというライトな言葉では間に合わないのである。『好き』という言葉は、私にとってはぬるま湯のようにぬるいのである。ゆえに私の行動パターンはいつも過剰だ」と書き出した後で、居酒屋でしめ鯖をおかわりまでし、ついには何も聞かなくても店の人がしめ鯖があるかないか教えてくれるようになったんだそうで、「そうなるくらいでないと、愛着を表現できた気がしないのである。我ながらキモチワルイなと思う」んだそうな・・・(「」部分引用)。
わたしにしてみたら、そんな石井さんは「キモチワルイ」人というよりも、親しみの湧く愛すべき人だ。見事なまでに感情のバランスがとれた人よりも、よっぽど人くささが感じられる。そして多分わたしにも少なからず石井さん的な傾向がある。
「ただ一つ言えるのは、なにかに接するとき、他の人と同じような接し方をしているのなら、私の世界では、それは『好き』ではないのだ。人があまりやらないようなことをやってしまってはじめて、それが私の世界のものになる」・・・こんなふうに書く石井さんの恋愛話など聞いてみたく思う・・・(「」部分引用)。