フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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「桜桃忌」に「桜桃」を読み桜桃を食べる

 きのうは「桜桃忌」だった。この日は太宰治の誕生日でもあり、入水自殺した彼の遺体が発見された日でもある。この時期になると、店先にさくらんぼが並ぶ。それを見て、ああもうじき桜桃忌だなと思い出して、太宰作品をぱらぱら読み返す。そんなことを毎年飽きずに繰り返している。

 そういえば「桜桃」ってどんな話だったっけ、と思い、新潮文庫の目次を探した。「ヴィヨンの妻」のいちばん最後に収められていた。ごくごく短い小説で、発表されたのは彼が亡くなる前の月らしい。

「桜桃忌」に「桜桃」を読み桜桃を食べる_a0025490_10331388.jpg
 夫婦喧嘩・・・といっても、殴ったりどなったりする喧嘩ではなく・・・をしていたたまれなくなって、逃げるように家を出る主人公。「もう、仕事どころではない。自殺の事ばかり考えている。そうして、酒を飲む場所へまっすぐに行く」とある。その飲みに行った先で「桜桃」が出た。「子供たちは、桜桃など、見た事も無いかもしれない。食べさせたら、よろこぶだろう。父が持って帰ったら、よろこぶだろう。蔓を糸でつないで、首にかけると、桜桃は、珊瑚の首飾りのように見えるだろう」・・・でも彼は帰らない・・・というよりも、帰れないのか。

 ひとり暮らしのわたしは、主人公のように桜桃を前にして逡巡することもなく、買ってきた珊瑚色の粒たちをぽいぽい口に放り込む。もうちょいほったらかしにしておけば甘みが増したかもなあなんて思いながら・・・。
Commented by saheizi-inokori at 2013-06-22 15:29
シャンソン「サクランボの実る頃」では「片方失くした耳飾りですって。
Commented by naomu-cyo at 2013-06-22 23:19
佐平次さん・・・さくらんぼってのは、なんていうかロマンチックな出来事や物に例えられるものなんですねえ・・・。
 思えばこどもの頃、佐藤錦なんて食べたことなかったです。さくらんぼといえば、プリンアラモードにのっていた異様に赤いあの粒でした。
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by naomu-cyo | 2013-06-20 10:32 | 読書 | Comments(2)