フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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久しぶりの浅草、久しぶりの粉花にて

 きのうは作品撮りで久しぶりに浅草へ。ちいちゃんの妊婦姿を撮影してきた。

 浅草寺境内で待ち合わせ。猛烈な暑さにもかかわらず、猛烈な人の数・・・。観光するというエネルギーはすごいなと半ば感心し半ば呆気にとられる。

 ちいちゃんは以前浅草界隈に暮らしていたことがあり、今はつくばエキスプレスで数駅のところに住んでいる。ならばと撮影場所を浅草にした。日射しもひといきれも激しい境内を抜けて観音裏の通りへ。まずは涼みましょうと自家製酵母のパン屋さん「粉花」へ向かう。ここを訪れるのもすごく久しぶり。運良く席が空いていた。

久しぶりの浅草、久しぶりの粉花にて_a0025490_10151967.jpg
 この妊婦撮影シリーズではいつも、撮影前か後にお茶をしながら話をする。そう決めていたわけではないのに、いつの間にかそんなふうになった。いろいろな話を聴ける。子どもを宿して見た夢の話や、流産経験のある人からはそのときの状況や気持ちを、妊娠して変わったこと変わらないこと、胎児との一体感について、ときにだんなさんとの出逢いから結婚するまでの話、なども。出産限界年齢がそう遠くないところまできているわたしにとって、それらの話を聴くことは「後学のために」という感じでは既になくなっているが、それぞれの物語がどれも生命の不思議や躍動を伝えてくれるものばかりで、とても奥深い。

 ちいちゃんは大学時代からの友人なので、臆することなくあれこれ話しやすい。「出逢って付き合い出すときってどんなんだっけ?告白とかしばらくしてないから、どんなふうに付き合いが始まるか忘れちゃったよ」などと、学生時代かと思うようなことを訊いたりする。恋愛と結婚の差異についても訊く。きいていると、なんで自分がいまだに嫁に行けずにいるのかが手に取るようにわかるので、自分の問題事項を正直に伝えると、「そんなふうに思っていられること、わたしとしてはちょっと羨ましいなあって思うよ。むとーちゃんはそのままでいてよ」と幸せいっぱいの顔して笑う。「そしたらいつまでたってもひとりもんだよわたし!」と答えて大いに笑う。

久しぶりの浅草、久しぶりの粉花にて_a0025490_10153423.jpg
 子を宿している人たちは悦びのみならず不安だって口にするけれど、表情はきらきらして仕草のひとつひとつがやわらかで、妊婦特有ではないかと思われる空気感をまとっている。同級生なのに、お母さんの気配。自分が娘として母親を見つめているような気がしてくる。自分の中の幼さや大人になりきれてないところがあぶり出されるんだけど、それを否定的にはとらえず、ただ、わたしはそうなんだなと受け止める。

 よしず越しに差し込んでくる日射しが弱まった。そろそろ撮影しないと日が沈んじゃうね、とパンを買ってお店を後にし、浅草の路地を撮影場所をみつくろいながらおしゃべりしいしい歩いた。ちいちゃんは全身を撮影したくなる感じだったから、浅草の路地の風景の中で撮った。フレームの真ん中よりちょっと下に臨月のおなかがある。もうすぐ出てくるんだなあと、なんだかやたらとしみじみした。
 
Commented by lehuahoney at 2013-07-19 23:44
素敵な時間ですね…。
いいなぁ、拝読しながら、ほんわかしました。
Commented by naomu-cyo at 2013-07-20 01:18
きょふさん・・・すごーくラクチンな時間でしたよー!まあ、いつもラクチン気味なんですけどもね、あはは・・・
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by naomu-cyo | 2013-07-19 10:15 | 逢った人のこと | Comments(2)