住まい考
2014年 01月 19日
最近、「暮らし」を撮る機会が二度あった。ひとつは40代の働く女性をターゲットにした女性誌、もうひとつは主に家そのものを取り上げるライフスタイル誌。どちらも被写体の方の生活空間を撮るというものだった。
建築カメラマンでもないわたしにこうした依頼がくるということは、だ。ザ・建築写真、というテイストは求めていないわけで、その人が心地よく住みなしている感じを撮るのがメイン。女性誌のほうはキャリアウーマンのマンション、ライフスタイル誌のほうは絵描き氏のアトリエを、撮った。
絵描き氏のアトリエ、撮っていてえらいこと楽しかった。氏が素敵だと感じ身近に置いて暮らしたいとチョイスしたものたちがとても生き生きしていた。それがそこにある理由をひとつひとつ尋ねたらきっと、それぞれに膨大な物語を聴かせていただけそうだった。ひとつひとつが個性の強いものたちなのに、しっくりと空間になじんでいた。心地良くて、いつまでも撮っていられそうだった。採光も素晴らしく、ずっと明るかった。よくよく考えてみたらなくても生活が成り立つものばかりなんだけど、やっぱりここの空間にはあることがあたりまえ、みたいなものだらけだった。建てて20年だという。時の経過も住まいの味わいに大いに影響していると思う。
キャリアウーマンのマンションは、建物自体は古いけどリフォームして数年というもの。光の入りっぷりが見事で、間取りも大胆。ただ、どこを撮ったらいいかを見つけるのが難しかった。抜けのいい空間、光にあふれる感じ、そこに尽きた。住みなしている感じを見出すのにちょっと苦労した。
古い木造の平屋に住みたいわあ、とかねてより憧れているのだが、耐震とか建物の資産価値とか考えると夢物語なんだなあと思う。いや、その前に。購入資金の問題があるでしょうよ・・・。住まいを買うということそのものがわたしには途轍もなく夢物語なのであった・・・。「うちのおばあちゃんが住んでいた平屋があるんだけど、住む人いないから代わりにいかが?」なんてうまい話、転がっていないものかしら・・・。