フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

住まい考

 世間的に仕事始めともなると、正月色がきれいさっぱり一掃される。もうちょっと余韻が・・・なんて思っていても、そこは容赦なく一気に通常モードに戻っている。寄席に行けばまだまだ正月色が感じられるのだが、ずっとばたばたな日が続いていて、5日の落語初め以降まるで聴きに行けてない。1月の寄席ってふわふわっとして楽しいのになあ。

 最近、「暮らし」を撮る機会が二度あった。ひとつは40代の働く女性をターゲットにした女性誌、もうひとつは主に家そのものを取り上げるライフスタイル誌。どちらも被写体の方の生活空間を撮るというものだった。

 建築カメラマンでもないわたしにこうした依頼がくるということは、だ。ザ・建築写真、というテイストは求めていないわけで、その人が心地よく住みなしている感じを撮るのがメイン。女性誌のほうはキャリアウーマンのマンション、ライフスタイル誌のほうは絵描き氏のアトリエを、撮った。

 絵描き氏のアトリエ、撮っていてえらいこと楽しかった。氏が素敵だと感じ身近に置いて暮らしたいとチョイスしたものたちがとても生き生きしていた。それがそこにある理由をひとつひとつ尋ねたらきっと、それぞれに膨大な物語を聴かせていただけそうだった。ひとつひとつが個性の強いものたちなのに、しっくりと空間になじんでいた。心地良くて、いつまでも撮っていられそうだった。採光も素晴らしく、ずっと明るかった。よくよく考えてみたらなくても生活が成り立つものばかりなんだけど、やっぱりここの空間にはあることがあたりまえ、みたいなものだらけだった。建てて20年だという。時の経過も住まいの味わいに大いに影響していると思う。

 キャリアウーマンのマンションは、建物自体は古いけどリフォームして数年というもの。光の入りっぷりが見事で、間取りも大胆。ただ、どこを撮ったらいいかを見つけるのが難しかった。抜けのいい空間、光にあふれる感じ、そこに尽きた。住みなしている感じを見出すのにちょっと苦労した。
 
住まい考_a0025490_3265568.jpg
 ふたつの住まいはおそらく、住んでいる人のコンセプトが違うのだろう。人んちに行くのが好きで、行くとその人がどういうものを身近に置いておきたいと思っているかがたちどころにわかるような家が殊更好きなわたしには、絵描き氏のアトリエはわくわくが止まらないくらい魅力的だった。一方、キャリアウーマンさんは、死ぬまでそこに住むつもりはないと話していらした。そんな高い買い物をしたのに!?という驚きがあった。田舎の建て売り一戸建てで育った自分の想像が及ばない世界。このふたつの撮影で、住まいというもののとらえ方のバリエーションを見せてもらった感じだ。

 古い木造の平屋に住みたいわあ、とかねてより憧れているのだが、耐震とか建物の資産価値とか考えると夢物語なんだなあと思う。いや、その前に。購入資金の問題があるでしょうよ・・・。住まいを買うということそのものがわたしには途轍もなく夢物語なのであった・・・。「うちのおばあちゃんが住んでいた平屋があるんだけど、住む人いないから代わりにいかが?」なんてうまい話、転がっていないものかしら・・・。
名前
URL
削除用パスワード
by naomu-cyo | 2014-01-19 03:27 | フォトダイアリー | Comments(0)