フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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結城紬、きたる

 財布に穴が開いていたのか頭のネジが吹っ飛んだのか、6月7月のきもの狂いぶりったら過去例を見ないほどであった。今年に入って地道に溜めていたきものヘソクリは瞬時になくなり、脳内では請求書を発行していない案件のギャラを計算し、なんとかなるに違いない、いやなんとかしてみせる、と鼻息荒く、セール中のきもの屋3軒をはしごしての買い物であった。嗚呼・・・脳内の大蔵省がお怒りになっておられる・・・。

 松美屋の30%オフで始まったきもの暴走。撮影場所で使わせていただいた表参道あおしで遭遇した琉球の夏絣の色に心奪われ、赤札のときを狙って足を運ぶゑり華のセールで夏帯にひとめ惚れし、さらに建物老朽化で取り壊しが決まったからと再びの松美屋セール今度は50%オフでもう完全にイカレた。松美屋の若旦那が所蔵している素晴らしき絹物たちは、お店に顔を出すといつも見せてもらっていたので、どういう顔ぶれがあるか大体見当つく。それらも半額になるんですかとおそるおそる尋ねてみたところ、若旦那一瞬ためらいを見せたのち、「しますよ、しましょう。武藤さんは着てくれる人だから」と威勢良く。図々しいな、わたし。そして若旦那潔すぎる。彼の店はいったんなくなるが、お父上が二子玉で店を構えているので、とりあえずはそこに合流するのだという。末永く足を運ばせていただこう、いや、足を運べるようみっちりしっかり働こう。

結城紬、きたる_a0025490_9505989.jpg
 その素晴らしい絹物たちの中でも突出して素敵だったのが・・・本結城の反物。店じまいする呉服屋から買い取ったんだとか。「これかなりいいものですよ」と見せられたときの衝撃は忘れられない。黄色好きのわたし好み過ぎる!これを身請けするのは自然の摂理に思われた・・・なにせ半額だし。結局松美屋の閉店セール中三回店を訪れ、そうして三回目に身請けした。持ち帰るときの緊張感。いつかきっとと憧れていた本結城の反物がわたしの手中にあるという興奮・・・。

 後日、仕事仲間のヘアメイクさんとご飯を食べたとき、きもの好きな彼女と結城紬の話になった。彼女もちょっと前に本結城と帯をそろって購入したんだそうで、「思い切ったけど50になったらその記念に結城を買おうと思っていたのよ」と。ならばわたしは・・・ちょっと遅れたけれどそして後付けの理由だけど、40記念ということにしておこうか。

 ほかに寝かしてある反物が数反あるのだが、真っ先に結城を仕立てに出そう。「八掛、何色がいいかなあ」と若旦那に相談したら、「そうですねー、金茶がいいと思いますよ。うん、金茶だね」との返事。仕立て上がったら見せに行かなくては。ちゃーんと着てます、ずっと着ていきます、ってね。
Commented by いととて at 2014-08-15 10:56 x
狂ってしまう時期、あるんですよね。私も40代に来ましたっけ。
いまは、あと何回着られるかなと考えると二の足を踏むようになってしまいました。それでも喉から手が出てしまうこともありますが。
Commented by naomu-cyo at 2014-08-15 20:40
いととてさん・・・そうですか、いととてさんもありましたか、きもの狂いの時期。おそろしや、でも楽しや。しまったーって思うんだけど、数日後にはケロリとして嬉しい気持ちのほうが大きくなっちゃって・・・。またやってくるのでしょうか、この狂いの時期。そのときのためにまたきものヘソクリを地道に始めます(いや、その前に。仕立て代を調達せねばなりません・・・)
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by naomu-cyo | 2014-08-15 09:52 | お着物 | Comments(2)