久しぶりに「キッチン」など。
2014年 08月 17日
本棚の断捨離の産物、ダンボール2つ分の書籍をきのう「みんなのとしょかんプロジェクト」に送った。さらに断捨離はゆるゆると続く。リリースするかどうかの境界線上にある本数冊を、きのう今日地べたと平行になって過ごしながら読み耽った。
やっぱりこれは手元に残そうと思った一冊が吉本ばななの「キッチン」。正直、この作品の文体はあまり好きではない。ちょっと奇を衒っているように感じてしまうせいかと思うが(作者はそんななつもりはなかろうが)、読み直し始めたらそこは気にならなくなった。最初に読んだとき(20代半ばくらいだったか)に引いた赤の傍線の箇所と、二回目に読んだときに引いた黄色の傍線の箇所は、今回読み直してもやはり胸にくるものがあり、さらに今回新たに胸にきた箇所もあって、なかなかに読み応えがあった。今はもう傍線を引きながら読んだりはしないが、かつてはそんなふうに読み、その箇所を日記に書き付けたりしていたものだ・・・懐かしい、なかなかおセンチだった頃の自分・・・。
携帯もメールもまだ存在しない頃に綴られた作品で、それらを介さずに人と人とが向き合う生々しさが今となっては新鮮にすら思える。すんごく伝えたいことは、やはり面と向かって言うべきなんだろうなあ・・・なんてことを、改めて思う。生身の自分を相手の目の前にさらして逃げずに伝えることの大事さってものが、ある気がする。