ひと月前あたりから読書のペースが加速している。量を読めば立派というものではないが、本が本を呼ぶとでもいうのか、一冊読むと次の本がおのずと決まる。芋づる式に読みたい本が増え、夏に80冊程を処分(NPOに寄付)したにも関わらず、本棚に収まらず積んだ本は日々高さを増している。こうなったら仕方ない、読みたいし欲しいのだからとことん求めるべし。そんなわけでスペース作りのために本以外のものを処分(自宅前に「自由にお持ち帰り下さい箱」を設置)した。
ちょっと前に取材でお逢いした深澤直人氏と米倉誠一郎氏。深澤氏がデザインしたものは我が家にはないが、伺った話にすっかり聴き入りご自身のデザインに関することをもっと知りたくなって
「デザインの輪郭」(TOTO出版)を取り寄せ読んだ。「スタンダード」についての考えやものの見方がひじょうに明解で伝わってくるものが多かった。世界的なプロダクトデザイナーである氏に対しておこがましいこと承知で、共感するところ多々。
米倉氏のインタビューはイノベーションの話。技術畑で使われる用語だと思い込んでいたけれど、それを米倉氏はヒトに対して用い、今後の日本の有り様について論を展開。「日本にはスティーブ・ジョブズは生まれないしシリコンバレーもないんだから、ないことを嘆いても始まらない。衰えているときは自分の強みを考え強化するにかぎる」といった話をされ、それが強く印象に残って自分の強みってなんだろうと思考するきっかけになった。
「創発的破壊 未来をつくるイノベーション」(ミシマ社)を読み、インタビューをおさらい。米倉氏がこの本すごいよとおすすめされていた
「沸騰!図書館」(樋渡啓祐/角川書店)も続けて読む。図書館のイノベーションに取り組んだ武雄市長の著書。読みながら血が沸騰するような興奮を憶え、武雄図書館にむしょうに行きたくなった。
この3冊は、40になってこの先のまず10年をどんなふうにカメラマンとしてやっていけばいいかを模索する日々の中で、今のままでいい部分と変えてゆくべき部分とを考えさせてくれる本たちだ。過激に何かを変えるというのではない。物事のとらえ方や行動をちょっと変えるだけでおそらく変化は現れると思う。あとはそれに添って営業を展開していきたい。その営業ってやつが厄介ではあるのだが・・・。10数年やってこられたんだから、もうちょっと自分に自信もとうや、わたし。まずはそこの意識改革。