フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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アソビがないのは考えものだと

 今月は日数に対して撮影依頼の数が多く、いくつか断ったりカメラマン仲間にまわしたりして、それでスケジュールがぽんぽんと埋まって、こんな2月は初めてかもしれない・・・なんて思っていたところに落とし穴だった。

 アソビがないスケジュールというのがいかに問題であるかを痛感した。A案件のスタートが予定よりも後ろにずれたことにより、翌日のB案件が受けられなくなるという事態を起こしてしまった。B案件の担当者はいつもわたしが撮った写真のことを褒めてくれ、誌面に使う写真のセレクトに関していつもクライアントとの間で尽力していてくれたのに、直前になって迷惑をかけてしまった。せかせかしすぎて、大事にしたいところを損なった。悔やんでも悔やみきれぬ。休んだほうがいいですよ、とメールをいただいた。フリーのカメラマン、あえて休みをとらずとも休みになる時期というのは不意に訪れるものなので、依頼があるときはとことん仕事をする、依頼が薄いときにしっかり休むということをずっと繰り返してきたが、端から見ると休んだほうがいいような状況になっているのに気付いた。とにかくも、迷惑をかけてしまったことはまぎれもない事実だ。みっともない。十数年やってきてこのざまか、と。

アソビがないのは考えものだと_a0025490_1443693.jpg
 そんなわけで浮いた1日、観に行けそうもなかった舞台の千秋楽に行こうかとも思ったが、雨が降っているしなあと思って、こたつに首までつかってあと少しで読み終わりそうな本数冊を読むことにした。「昭和の犬」(姫野カオルコ/幻冬舎)は再読本。去年読んでその後姫野カオルコ作品にのめり込んであれこれ読んで、そうして再び読み返しているところだった。この作品のぽつねんとしたたたずまいが心にしみる。ここのところばたばたした日々を送っていただけに、余計にしみた。何を息せき切って日々を送っているのか、と。主人公は自分にとって大事なことをしっかり胸にかかえながら日々を淡々と送っている。大きな事件も出来事も起きないけれど、切々と伝わってくるものがある。読み終えて、涙をだーだー流しながら、心がひといきついた。深呼吸せなあ、と思った。

 思えば昔から息抜きが下手だった。いつも根つめて目の前のことに向かっていた。一生懸命やらないとあとあと罰が当たるんじゃないかとかつての自分は思っていた。今はちょっと違っていて、カメラマンとして求められるということはありがたいことなのだから、受けたいと思うものは受けられるかぎり受けようと思って突っ走れるだけ突っ走る。でも今回このざまである。いっこいっこ大事にしたいのに、結果的に大事にできなかった。休むというと何をどうすれば休むになるのかわからない。せいぜいこたつにつかってひたすら読書するくらいしか思い浮かばない。休むというか、ととのえることが必要だろう。ととのえて、ちゃんと深呼吸すること。周りの景色を見渡すこと。そして今回のことをしっかり反省し、わたしの代わりはいないんだくらいの気概をもってひとつひとつの撮影に臨んでいかねば。
Commented by team-osubachi2 at 2015-03-02 00:18
そうなのね〜。休むって、どうするのが休むことなのか、わからなかったのですよ、私も。
身体がとうとう悲鳴をあげて、まわりからもっと怠けなさいと言われ、でも、どうやったら怠けられるのかわからなかったのですよ、私も。
こんなに暇なのに「頭も気持ちもいっぺん止めて」と整体の人に言われて、え?ってなもんでした。
私はここまで壊れなければわからなかったですけど、武藤さんはまだ丈夫だから、今のうちに知っておくといいですよ、きっと。
いやあ、休むってコトがどういうコトなのか、最初からわかってたらこんなに苦労しないんですけどね(笑)。今頃になって初めて知った休閑期であります。
Commented by naomu-cyo at 2015-03-04 09:27
team-osubachi2さん・・・忙殺されていた2月も過ぎ去り、穏やかな3月です・・・(苦笑)。これだから忙しいときは休まず突っ走るんですけれども、どうせ凪ぎはやってくるからと。
体調なかなか落ち着かない様子ですね。わたしから見ると、 team-osubachi2さんが衰えに対して必要以上に警戒しているというかおそれているというかそういうふうに見えなくもなくて、そっちのほうがちょっと心配だったりするんですが、自分の身体のことは自分がいちばん自覚していらっしゃると思うので、しっかり養生なさってください。わたしはちと過信気味かなと。頑強な身体ではあるのですが、時間と脳みそがついていけなくなってました、今回。
お互いどんな状況であっても好奇心だけは失わずにいきましょう。それさえあれば大丈夫な気もしていて。
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by naomu-cyo | 2015-02-27 01:44 | お仕事 | Comments(2)