フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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いろいろ模様の八月

 八月になると新聞やテレビで戦争の特集を組み出す。広島・長崎の原爆記念日、終戦記念日。戦後60年なこともあってか、例年よりもずっと念入りな気がする。
 また、20年というひとつの節目のせいか日航ジャンボ機墜落の特集も数多かった。

 小学4年のときだったか、「はだしのげん」の実写映画を観た。恐怖と「原子爆弾って何?」という問いとが残り、その後図書館で広島・長崎の本や太平洋戦争の本を借りまくった。探してみると実にたくさんの戦争物があり、そこにはそれぞれの悲劇があった。当時は八月になるとテレビで戦争関係の映画やドラマをたくさん放映していたので、それも食い入るように見た。
 大人になるに従って、映画に描かれた戦争を見るようになった。どうして戦争物に執着するのか自分でもよくわからない。集団の心理がどう働くか、どんなからくりがあったのか、いちばん得をしたのは誰か、すべての価値観の崩壊の瞬間はどんなだったのか、戦争に翻弄された人たちがどう生きるのか・・・それらを知ったからといってどうするわけでもないのに。

 身の回りに戦争体験者がいなかった。祖父は視力が悪すぎて兵隊にとられなかったときいている。終戦時三歳だった父は仕事で行った中国で抗日記念日になると「日本はこんなひどいことをしたんだぞ」と現地スタッフに責められたと話していた。

 きのうはジャンボ機墜落の特集を見てた。20年前のあの夜のことはおぼろげながら憶えている。小学六年時で、ちょうど父が出張から戻ってくる頃だった。テレビにテロップが流れ、台所の母に「飛行機が行方不明になったって!」と告げた。仕事先から帰国する父が乗っている飛行機だったらどうしようと不安になったが、国内線だったのでまずその可能性はないと母が言った。そのままテレビを見ていたら(たしかトップテンを見てたんだった)墜落のテロップ。身体の中をひやりとしたものが通り過ぎていった。

 何歳のときの八月をどう過ごしたかというのは想い出せないのに、「八月」ときくとなんだか心がざわつくような気がする。誰かが体験した「八月」がわたしの記憶の中にインプットされていて、「忘れるな」ってざわつかせるのかもしれない。

 おととい友人に長男が誕生した。日本にとって特別な感のある八月、友人にとってはまた格別な感慨を伴う八月になったに違いない。おめでとう。

http://www.mu-cyo.com/
Commented by suiryutei at 2005-08-13 19:22
あのとき小学6年生というと、生存していた川上慶子さんも、同じくらいの年齢でしたね。彼女がヘリで吊り上げられて救出されたときの映像は今も目に焼きついています。
Commented by takumino-prince at 2005-08-13 23:58
TV観てて、もう20年も経ったんだな~と思いました。
でも20年前、事故の時って何してたか思いだせ無いです・・・
Commented by naomu-cyo at 2005-08-14 04:42
酔流亭さん・・・そうです、川上慶子さんとは同じ年でした。この年、同い年のいとこがくも膜下出血で倒れたりもし、同じ12歳なのにこうも違うのかとショックを受けたのを憶えてます。
Commented by naomu-cyo at 2005-08-14 04:44
takumiさん・・・子どもの頃の記憶が妙に鮮明で、むしろいちばん近い大学時代のことなどを思いきり忘れてます。
 日航機事故の特番見てたら飛行機に乗るのがとてもこわくなてしまいました。
Commented by BlueInTheFace at 2005-08-17 02:27
僕も日航機墜落事故では川上慶子さんを真っ先に思い出します。
あと、坂本九さんも。
あれ?僕も川上慶子さんとは同じ年だったと記憶してたんだけど。むーちょさんと僕は同じ学年だったのかな?・・・(・∀・)
Commented by sanchac at 2005-08-17 09:25
日航機墜落事故、原因は未だにいろいろ騒がれていますが、あの時はとてもビックリしました。飛行機にほとんど乗ったことがない年齢だったので、飛行機に乗るのがとても怖いと思いました。もう20年も経ってしまったんですね。
Commented by naomu-cyo at 2005-08-17 16:04
ミツさん・・・わたしはオイルショッカー世代です(わかっていただけるかしら?)。自分が30を越したということは彼女もそうなわけで、逢ったことももちろんないのに、この時期になると元気に過ごしておるかしら・・・と思ってしまいます。
 飛行機事故というと、向田邦子さんも思い出してしまいますねえ・・・。
Commented by naomu-cyo at 2005-08-17 16:06
sanchacさん・・・ほんとの原因ってどこにあったのでしょうね。事故の規模ばかり取り立てられて、そういえば原因がなんだったのかに気がまわらないでおりました。
うちは父親が頻繁に飛行機に乗っていたので、人ごとじゃないっていう気持ちになったものです・・・。
Commented by firipp at 2005-08-17 18:01
私の友人に原爆症の子がいます。
彼女は直接原爆に会ったわけではなく、母親が小さいときに被爆しただけなのに、、、。
放射能は恐ろしいです。
Commented by naomu-cyo at 2005-08-18 10:29
firippさん・・・わたしのまわりにも被爆2世の人がふたりおり、その片方は今原爆の後遺症が出て通院してます。こんなに被害が明らかなのにどうして非核化の方向で世界がまとまらないのか不思議でなりません。
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by naomu-cyo | 2005-08-13 11:14 | フォトダイアリー | Comments(10)