気になる、駅のポスター
2016年 04月 05日
この装束、もしや厚司織では?
3年くらい前になるだろうか、青山にある呉服屋「ゑり華」のセールに出かけた。並んだ着尺や帯地の反物を手に取ってあれこれ眺めるうちに、強烈に気になる1本に出くわした。店主に「これ、なんですか!?」と勢いこんで尋ねると、アイヌの織物で厚司織というもので、京都の問屋さんでも年間2本くらいしか扱ってない希少な織物(絶滅危惧種とも言える)だと教えられた。おひょうという木に祈りを捧げて皮をはぎ、煮てほぐして繊維にし、おばあちゃんが腰機で織るのだと資料を見ながら説明してくれた。「祈りを捧げる」というくだりですっかり魅了された。捧げられるのはアイヌ語による祈りの言葉なのだろうか。見せてもらった帯地は茜で染めた糸と地色とで縞を織り上げたもの。自然布の帯にはずっと興味があったのだけれど、見かけるものはたいてい地色のままでそれは今のわたしにはまだ時期尚早、地味に思えてなかなか手を出せないでいたのだが、これは違った。地色に乗った茜色は温和な赤味で、これならわたしの年齢でもてらいなく締められそうだと思った。
その後日本民藝館で、展示されている厚司織の装束を見た。文様の入ったそれは勇壮で威厳に満ちあふれ、帯で見るのとはみなぎる力が格段に違うような気がした。もしかしたら、かろうじて帯という形で生きながらえている織物なんだろうか?
ポスターの中で実際に身につけている姿から、民族を象徴する代名詞的な存在感が伝わってきて、しばし立ち止まらずにはいられなかった。
何年も前のこと、どんな風にしてこの本が編さんされたか(このこと自体まるでひとつのドラマです)、そのドキュメンタリーを見て初めて知った本です。
ちなみに、琉球犬とアイヌ(北海道)犬は、どうしてだか遺伝子的にとても近い種類って聞いてます。
偶然ながらも琉球の着物にアイヌの帯という組み合わせ、不思議と、でも自然に互いに響き合うのですよねえ、きっと♡