きものの世界にかぎらないのだろうけれど、自分に似合う色を見つける「カラー診断」なるものがあり、取材ついでにわたしも診てもらったことがある。わたしの肌の色には半襟に青み系の白が似合うのか黄味系の白が似合うのか。結果は青み系の白が合うとのことだった。好むのは診断とは反対の黄味系の白のほうで、青み系の白だとシャープになり過ぎる気がして、ショートカットでこの歳にして少年に間違われるほどボーイッシュな自分には向かないような気がする。このての診断は自分では全く決められない人や迷っている人にこそ必要なものであり、なんと言われようが好みを優先する自分はお門違いであった。
我ながら黄色がよく似合うと感じている。橙色寄りの黄色ではなく黄がまさった黄色は、洋服でもきものでもとてもよく似合う。それに気付いてからやたら黄色いものが増えた。きものを着るようになってから好きになった色で、案外きものを着ることで身につけるものの方向性が定まったり発見があったりするものだ。
夏のきものや帯には今年は手を出さない、としっかと心に決めていたのに、
きもの青木のウェブサイト(ちなみにトップページの写真はわたしが撮ったもの)でトウモロコシ色の夏の琉球絣を見つけてしまったら、居ても立ってもいられなくなった。「待ってました!」と心の声がきこえた。試着しに行き、やっぱり似合うと確認したらもう、買わないという選択肢は芽生えなかった。なにせ寸法がぴったりだ。これは僥倖である。わたしに向けて道がついていたに違いない。
このきものに以前松美屋で購入した焦げ茶地に多色縞の夏帯を合わせて観劇に出かけた。黄色があまりにはまっていてご機嫌なワタクシ。思わず、ふだんはすることのないスマートフォンのカメラで我が身を撮影し、着付けを教わったイラストレイターの岡田さんときもの青木の銀座店店長に画像を送ったほど。似合う!ばっちり!自画自賛!
しかし、8年くらい前に購入したレモンイエローの柄物ワンピースは、この夏どうにも似合わなくなっていた。色が、ではなく、形が、である。四十も半ばが見えてくると、膝がごろっと見えるワンピースを着用することに抵抗が芽生える。しかし、この色と柄は好きなのだ。これは洋服のお直し屋に持ち込んで、スカート部分を切ってトップスに仕立て替えてもらおうかと考えている。似合う黄色、手放さない方向で!