1月24日、早朝出発。レイキャビック空港で日本人の団体の点呼と遭遇。あれ、日本語だよと思ったら、となりにツアーコンダクターの女性がいた。チェックインし、土産物屋さんをのぞく。アイスランドクローナは日本では換金できないというので、使ってしまおうと試みる。空港内に募金箱があり、使い様のない細かいコインを寄付にどうぞということらしい。きれいなコイン数枚を手元に残し、あとは募金箱へ。魚が描かれたコインが美しく、仕事でお世話になっているマルハニチロの広報さんにお土産にしようかなと思った次第。
一路、コペンハーゲンへ。そこでスカンジナビア航空に乗り換える。3時間くらい余裕があり、ラウンジで過ごす。ここはフリーフードフリードリンクで、欧州ラストの食事だしもりもり食べた。その後わたしは本屋へ。人の土産ばかり気にして、自分土産を買ってなかった。美しい本4冊を買ったらけっこうなボリュームと金額になった。今回訪れた4カ国の中でいちばん物価が高いのがデンマークなのを失念していた・・・が、今出会ってきれいだなと思ったんだからしゃあない。
あとはもう、飛行機が勝手に日本へ運んでくれる。空港内、果てのほうにある喫煙所で師匠の喫煙姿を撮影。欧州ではこれが最後。コペンハーゲン空港に到着したわずか10日ほど前にはまだなかったクリスマス装飾が、帰国の頃にはキラキラしていた。そうか、もうクリスマスシーズンなんだなあ。
行きよりも帰りのほうが心なしか時間の経過が早く感じた。着いて荷物を受け取って、到着の一服。煙草をきらしていたので、この1本は師匠からいただいた。「帰国したら何が食べたくなるんだろうって楽しみにしてたんですが、機内食でおなかいっぱいで何も食べたくないです」と言ったら師匠は、「一生分かってくらいチーズとかハムとか食べた。ふだん食わないのに」と笑っていらした。安堵でいっぱいだったかと思う。
師匠と正太郎さんと迎えにいらしたご家族の皆さんとみんなで腕を組んで横並びで記念写真を撮った。撮った自分が言うのもなんだけど、ものすごーくいい写真になった。もちろんこれは非公開ショットなので、後ほどプリントしてアルバムにしてそれぞれにお渡しした。「かみさんがすごく喜んでたよ」とお二人から言われたのがとても嬉しい。
最後に到着動画を配信して解散。あー、終わってしまった。12日間日本じゃないところにいたことがピンとこないままぼんやりとバスで新宿へ向かった。もうひとりの自分が東京で普通に暮らしていたんじゃなかろうか、なんて思ってしまうくらい、12日間が別の層にある気がしてならない。
師匠と正太郎さんとを追っかけることだけに集中する日々は、雑念とは無縁だった。北欧の寒さも手伝ってだろう、どこまでもクリアでシンプルだった。今後辛いことや雑念やモヤモヤする気持ちが溢れてしまったとき、この12日間を思い出そう。自分の中に透明感が宿っていたことを思い出そう。維持していくことは困難で、自分はすぐに自分の濁りに呑まれてしまう。そしたら濁りの中から拾いだそう、確かに生じたクリアな気持ちを。
連れて行っていただき、ありがとうございました・・・師匠あっての今回の同行撮影だったことを思うと、もう、ただひたすら感謝の気持ちでいっぱいだ。師匠がこの先名人となり正太郎さんが真打となりしていくうちに、わたしはわたしで消えないよう、フォトグラファー武藤奈緒美を全うしていけるよう頑張りたい。