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2018年 06月 09日
こないだ名刺をいただいた人が、わたしの仕事場からそう遠くないところで道具屋をやっているというので、天気もいいし出かけてみることにした。
代々木八幡駅で降りて、まだ歩いたことのない道を行くと大きな通りにぶつかり、見覚えがあるなあと思ったらそこは富ヶ谷の交差点そばで、パン屋のルヴァンが目の前にあった。寄るのをこらえて手前の道に入り、再び大きな通りにぶつかって左に曲がるとすぐ、件の店があった。 先日お逢いした当人は不在だったので違う方に対応していただいて、古家具や古道具を眺める。とても落ち着く。もともと古いものも木のものも好きだ。我が家でも古道具屋で見つけたデスクや本棚を長年愛用している。しかし長い時間を経たものの中にはときに時間の澱やそれを使っていた人たちの念のようなものが滞っているように感じられるものもあり、では我が家にこの着物箪笥をひとつ・・・とすんなりいかないところがある(もちろん、金額やスペースの問題も大きいが)。その点この店のものはどことなくあっさりとしていて、いわゆる古家具とは趣きが違う。聞けば、岡山界隈や東北から買い付けてくることが多く、大正〜昭和初期のものが大半だという。東北だったら塗りの箪笥が多そうですよねと尋ねると、八王子の作業場で塗りをはがすなどの手を加えるんだそうで、買い付けたものにおそらくけっこうな手間ひまを施した後販売している模様。どうりで、澱とか念とかを感じなくて済むわけだ。創意工夫だなあと思う。 置いてあった元箪笥の引き出しを見て、みだれ箱に使えそうと言ったら、それは処分するものだからもし使うんでしたら差し上げますよ、もうふたつあったんですが、それはうちのベッド下の収納に使ってますとのこと。計ってもらった寸法をもとに検討してから後日連絡することになり、名刺を交換する。ああ、きれいな名前だ、と瞬間的に感じた。名字の漢字二文字にさんずいが付いていて、一方は「江」だ。名前の漢字二文字の片方に「碧」の字。思わず、景色を感じるお名前ですねえ、きれい、と手元の名刺を見つめながら伝えると、ご本人はとても照れていらっしゃる。そのとき明瞭に浮かんでいた景色があった。あの水辺、あの碧だ。3年前に訪れた、紀伊半島の山間にある瀞峡。ちょうど読んだばかりの「水辺にて」(梨木香歩/ちくま文庫)の中に出てきて、久しぶりにその景色を思い出していたせいもあるのだろう、お名前の字面を見てたちどころにその景色と結びついた。 ![]()
by naomu-cyo
| 2018-06-09 08:57
| 逢った人のこと
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