雑誌
「うかたま」(農文協)春号の古布企画に便乗して、ハマヲ洋傘店の鎌田さんに日傘をこしらえていただいた。43歳にして初めてのアイテムだ。
友人のお義母さまが昔よく着ていらしたという琉球の夏絣を、「洗い張りして仕立て直してもわたしの寸法には足りないけど、武藤さんなら小柄だしこのまま着られるんじゃないかしら」と譲り受けたのは数年前。光のあたり加減で紫が強くなったり青みが強くなったりと表情豊かなそのきものを、寸法もぴったりだと大喜びして何度か着たものの、最初に背縫いの糸が切れ、自力でなんとか直したところに今度は生地そのものが裂けてしまった。こうなるともうきものとしては着られまい。そのまま畳んでいずれ何かに使おうとしまってあったところ古布企画の撮影依頼をいただき、取材対象のひとりがきもの地で日傘をこしらえている鎌田さんだった。
きものとしてもう着られないのなら、せめて日傘に生まれ変わってもらおうと、くだんの琉球夏絣を鎌田さんに託した。2週間後、1枚のきものから2本の日傘が出来上がってきた。夏絣の透け具合が涼しげで気品のあるツインズの、1本は日傘をさしている姿を一度たりとも見たことがない母に、もう1本はこれまた日傘を所有したことがない自分に、贈ることにした。
担当編集のSさんから日傘イベントの計画をきいたのは掲載号が発売する前で、聞くなりわたしも手伝いたいと申し出た。鎌田さんの素敵な日傘を知って欲しい、一堂に会するところを見てみたい、という気持ちが強く働いたからだ。着々とSさんは準備を進め、今月になってわたしも鎌田さんのもとを訪れ写真を撮り、出来上がった日傘をアトリエで撮影し、いよいよそのイベントがこの週末に開催される。
「旅する日傘」
5月13日(土)〜5月14日(日) 11:00〜20:00
@ハコギャラリー(渋谷区西原3-1-4 代々木上原駅下車)
同時開催
「助六茶屋」by 東京くらげ (両日)
「キモノ里親さがし」 by 竹ノ輪(14日のみ)
わたしの日傘も非売品として展示する予定。色とりどりの日傘たちに逢いに、是非足を運んでみてください。
(写真は、わたしの日傘を友人の成田京子さんにモデルになっていただき撮影したもの@藤野・studio fujinoそば)