フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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月命日には

 毎月4日は愛猫ぱちの月命日だ。早朝からの仕事でないかぎり朝ごはんに魚を焼いて、仏壇のぱちとシェアする。供えた魚は翌朝、庭に来る放浪猫のご飯に回す。ぱちが他界してから生まれた循環である。

 今年の11月でぱちが逝って丸4年になる。その間、いく匹もの放浪猫が庭を訪れた。ぱち在中の頃からよく来ていたブサイクなボスキャラ猫・ブサは、ぱちが逝った翌年の6月もおしまいの頃に、夜中に一声咆哮し絶命した。翌日朝から仕事が入っていたので、夜のうちにコンビニでダンボールをもらって来、呉服屋がくれるウコン染め(防虫効果があるようだ)の風呂敷に亡骸を包み、ぱちの仏壇の花を一輪失敬して供え、軒下の直射日光のあたらないところに安置し、区の窓口にFAXを送り手数料を添えて埋葬業者への仲介を託した。さすがにブサは家族ではなかったこともあり、ぱちのように手厚くは葬れなかったけれど、区の窓口を通すことで合葬してもらえ、後日お参りもできることを対処方法を調べている過程で知った。態度のみならず図体も大きかったブサがどんどん痩せていき、うちに寄るとものすごい勢いで水を飲んでいたのはおそらく、腎疾患だったと思われる。生前のぱちと網戸越しに対峙したこともあった。

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 今頻繁にやってくるのは、朝なら不二子(小股の切れ上がったいいオンナ風)、夜ならかあさんだ。朝カーテンを開けるとすでに不二子は飯碗を見下ろし静かに待っている。見た目はいいオンナ風なのに、声がまずい。だからなのか滅多に声による自己主張はしない。一方かあさんは、夜中であろうと明け方であろうと甘ったるい声で室内のわたしにご飯をせがむ。双方拠点ありの出歩き猫のはずだが、最近不二子に野生感が出てきた。もしや拠点を追い出されたかとちょっと心配している。

 彼女らのおかげで、ぱち不在の日々のさみしさが少しは緩和される。それでも顔を寄せ合って眠るわけではないから、時々あの幸せな朝を思い返す。あの日目覚まし時計が鳴る前にすうっと目覚めると、わたしの首のあたりにぱちが顔をうずめてすやすや寝息を立てていた。得も言われぬほど満ち足りた朝だった。いつでも何度でも思い出せる、あの感触と胸に広がったあったかさを。
 

Commented at 2019-11-05 00:07 x
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Commented at 2019-11-12 07:31 x
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Commented by naomu-cyo at 2019-11-24 04:49
まり子先生・・・お返事が遅くなってすみませんです。そして、憶えていてくれてありがとうございます。いただいたサンキャッチャーとマスコットはぱちの仏壇のそばに飾っています。サンキャッチャーがひろった太陽の光、ぱちに届けー
Commented by naomu-cyo at 2019-11-24 05:14
Abby and 路子さん・・・お返事が遅くなってすみません。そして、悲しく切なくなんとも表現し尽くせない中にいらっしゃると思いますのに、こちらを気にかけていただき、ありがとうございます。
Abbyちゃんと19年も一緒にいられて羨ましいと思う一方で、自分が4年前に「15年も。大往生ですよ」と声をかけられ、大往生なんてことで割り切れない、いつまでだってもっともっと一緒にいたかったんだ、と思ったことを思い出します。今でもそう思ってます。路子さんももっともっと一緒にいたかったと思っていらっしゃることと思います。
ぱちがいなくなって、それまでの私はぱちにすっかり甘えていたんだなということがよくわかりました。同志であり、時に母のような泰然自若とした存在でした。目覚めた時に自分の顔の隣にその温かい存在がないのも、触れられないのも、なんだかいつまでたっても何かが欠落しているようで、その部分だけ風がピューピュー吹いているようです。この4年仏壇のぱちに話しかけるのが日常になり、ぱちと私の関係は違う層に移ったんだなと思うようになりました。
路子さんにとってこの冬の寒さはひときわしんどく感じるものになるかと思います。力技で元気になろうとか思わずに、存分に不在を悲しんでください。そして生前のAbbyちゃんをしっかり胸に刻んでください。そうすれば決してAbbyちゃんはあなたから離れていかないはずです。
伝えてくださってありがとうございます。
Abbyちゃんとぱちには先に待っていてもらいましょう。私たちも存分に生きて、そうしてやがて向こうに合流しましょう。路子さんも、お元気でいてください。私もまだまだ元気でいるつもりです。
Commented at 2019-12-18 10:44 x
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Commented by naomu-cyo at 2019-12-31 06:29
路子さん・・・私もお返事がすっかり遅れてしまいました。大晦日の早朝です。びっくりするくらい日々が素早く過ぎ去っていきます。それでも4年前のぱちとお別れしたときにとどまったままの時が心の片隅にあるのを実感します。
今日、ぱちの遺影と骨壷を携えて帰省します。まだ置いてゆくということができなくて。いつか同じお墓に入るんだと思っています。おかしな行動なのかもしれないんですけれど、これが私の追悼の仕方なんだなと。それぞれの形があっていいですよね。
ご自身が体調を崩されたとのこと。新年は身体を少しでも緩めてくださいね。私も自分の身体を省みなくては、と思うこの頃です・・・。お互い、相手が生まれ変わってきたときにちゃんと合図をキャッチできるよう、健やかに過ごし感覚を磨いておきましょうね。
 Abbyちゃんの気配が路子さんのそばにある新年でありますように。



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by naomu-cyo | 2019-09-05 04:00 | | Comments(6)