作家・隆慶一郎氏によって
2007年 09月 29日
日本の歴史の中で「異族」と呼ばれる人たち、つまり熊襲や土蜘蛛と呼ばれた人たちの話が文献を参考にして進められたわけだけど、制限時間の都合もあってか導入編的な内容だったかと思う。もっと掘り下げた話も聴いてみたいと思った。
民俗学、と一口に言ってもその内容は多岐にわたる。大学の授業では昔話についてや言葉や噂話の伝播の過程などを習った記憶がある。それがほんの一側面でしかないことは、その後読み散らかした本の中で知った。生活の営みに関わる様々な事柄が民俗学の中で語るにあたいするのだということは宮本常一の特集本を読んで知った。
ちょっと前に漫画「花の慶次」(原作・隆慶一郎、画・原哲夫)を読み返した。この作品に初めて接したときは、日本史の授業で取り上げられないながらも実在した素晴らしくかっこいい武将・前田慶次郎ばかりに注目した。それが何度も読み返し原作や他作品を読むうちに、彼の周辺にいる人たち・・・「しのび」や「道々の輩」、「かぶき者」・・・にも関心をもつようになった。と同時に、授業で学ぶ歴史というのはあくまで表舞台であって、民俗学というのは舞台に登場しない圧倒的多数側に寄り添った分野なのではと思うようになった。
日本史の授業が大好きだったわけが今なら説明できる。主人公が代わる代わる現れ大事件が頻発し、勝者と敗者が明確で、どれもこれも新聞の一面間違いなしのドラマチックな出来事ばかり。授業の日本史は言うなればハリウッド映画の如し、そりゃあ面白くて当然だわ、と今だから気付く。日本史に出てくる名のある人たちを支える数え切れないほどの名もなき人たちがいたわけで、隆慶一郎氏などの作品を通じて表舞台の裏の人たちに興味を持つようになったのはほんの数年前のことだ。
おかげですっかり読書の傾向が様変わり。もちろん小説や随筆も相変わらず好きだけど、民俗学の範疇と呼べるような本も読むようになった。その側面から改めて周りを見直したとき、つじつまが合うことがたくさんある。面白いこと・関心を寄せることがどんどん増えて、今まで気にも留めなかったことが大事に思えてきたりする。そして「大学でもっと勉強しておくんだった!」と後悔ぽろぽろ。いまさら言っても始まらないから、趣味のひとつとして興味の矛先を向け続けていこうかと思う。
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面白いですねぇ。隆慶一郎の世界はつくづく面白いですねぇ。
高温多湿の日本が舞台なのにどこかカラっと乾燥した空気もあって、それがとてもかっこよく思えて、若い頃夢中で読みました。
でも、隆慶一郎と間違って峰隆一郎を買ってしまった事もあります。青春の光と影。
「隆慶一郎と間違って峰隆一郎を買ってしまった」・・・わたしはギリギリのところで気付きました(笑)。峰さんのほうは面白いのですか?わたしの青春の光と影は、「夜明け前」を古本屋で買ったとき。全4冊なのですが、よくわからず買ったら最初の巻と最後の巻だけだった。どうりで激安だったわけです・・・。