撮ったり聴いたり。
2008年 09月 01日
小学校の先生をしている友人から「とうとう、この世紀末にあたいすべき日がやってきました」と二学期の始まりをおそれるメールが届く。毎年のことなのですっかり風物詩になった。
日中、上野の下谷神社で「東京かわら版」の撮影。この神社は寄席発祥の地。境内に正岡子規の句碑があった。
寄席はねて 上野の鐘の 夜長哉 子規
たった五・七・五の文字数の中に世界を内包せしめる俳句の面白さに気付いたのは、子規の句が365句集まった日めくりカレンダーを購入してから。情景を言葉で表し、その背後にある感情は言葉の周辺に漂っている。たくさんの句を読みあさってみたわけじゃないけど、中でも子規の句はすごくいいなって思う。剽軽で孤独で素朴でわびしい。
夜は「志らく一門会」へ。10日に撮影した志ら乃さんの高座写真を持参して伺う。久々に行ってみたけど超満員。夏も終わりだからと夏の噺がいくつかかかる。今まで何度か行ったこの一門会の中でいちばん面白かった。同じ師匠についているのにそのお弟子さんたちのなんと個性的なことよ。ますますこの一門が好きになった。個人的にはたっぷり大熱演みたいな高座は好きじゃなく、ものすごい迫力だったりするのにちゃんとどこかに抑制が効いた高座が好きだ。演者が自分の内部にある熊さんやはっつあん、与太郎や隠居を器用に操っているとでもいうような二重構造が見えるほうが、置いていかれた感がなくて安心してわくわくしながら聴いていられる。
それにしても志らく師匠の「野ざらし」が聴けたのはほんとにラッキーだった。超ご機嫌な男が出てくるこの噺自体好きだけど、志らく師匠で聴いてみたかっただけに嬉しさしきり。どっと押し寄せた夏の疲れはこの一門会に来たおかげでどこかに消え失せた。さて、と。夏の名残とこれからやってくる秋の気配を楽しむことにしようか。でも突然の大雨だけはほんとに勘弁・・・。
ウェブサイト更新しました!今月は若手噺家・立川志ら乃さんの真打ちをめざす姿を撮影した写真たちです。http://www.mu-cyo.com/
子規のカレンダー、いいですね。