温泉旅行?いえ仕事です。趣味?いえライフワークです。
2009年 04月 25日
仕事・・・なんだけど、訪れた先は旅館と温泉施設が併設されており、撮影後はそこのお湯につかりそこの宿に泊まった。露天風呂を堪能しながら温泉旅行に来たような錯覚に陥る。部屋も長期滞在向きな広々としたこしらえだったため、なんて贅沢な!と思いながら一泊を十二分に満喫。翌朝は早起きして部屋に付いている温泉に入った。
縁側で出発前の一服をしていたら鳥のさえずりが響き渡って、これもまた旅の、いや、仕事の醍醐味であるなあと遠い目になる。こういうことが楽しくて遠出仕事ウェルカムなのだ。ひとり旅となると、むしろのんびり気分になれない性分。貧乏症だしたいていは作品を撮る目的もあって出かけるから、せわしなく歩き回っていることが多い。仕事だとめりはりがついてちょうどいい。この時期山が明るい緑に覆われて目にも優しい。地元ならではの食材も楽しめて随分とおいしい思いをさせていただいた。
大分から昼に帰京し、事務所でデータのバックアップと機材の整理をし、午後から横浜で別件の撮影、その足で夜は立川志ら乃さんの独演会の撮影。自分がどこにいるのかわからなくなりそうな一日だったけど、いい一日だった。スムーズに頭も切り替わったし。
志ら乃 「締め込み」
「弥次郎」
仲入り
志ら乃 「文七元結」
いい落語会で撮っていてもとても楽しく。「締め込み」は初めて聴いた噺。聴きながら、志ら乃さん演じるところのおかみさんって、女の自分でも嫁にしたくなるようなかわいらしさがあるなあと感じる。楽しみにしていた「文七」、やはり面白かった。今回の会ならではのアレンジもなかなかに効いていた。「人情噺」と言われているものをベタベタに情に訴えて表現されると返って引いてしまうというあまのじゃくな性分なので、そういう描き様ではなくて登場人物たちの感情の流れや噺の進行が自然な志ら乃さんの「文七」に好感を憶える。噺の中の時間より以前の時間までも感じられるような家族の風景や今は博打狂いだけれども主人公の江戸っ子気質とその底に通う心根の良さなども透けて見えてくる。
落語のほうは聴いたり撮ったり趣味なんだか仕事なんだか境界が甚だ曖昧だけど、まあ一言でまとめれば「ライフワーク」のひとつだ。なんとなく写真を始めたのにそういうものにちゃんと出逢えたことを、聴くたび撮るたびごとに喜ばしく思う。趣味が仕事に、仕事が趣味に。全うする気でやっているからどっちだってかまいやしないんだけどね。