フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


by naomu-cyo
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新島行き〜初日編〜

 台風で延期になっていた一泊二日の新島取材に行ってきた。戻ってきて思うのは、新島は母親みたいな島だったなあということ。出逢った人たちのほとんどが女性だったからかもしれないけど、母親に甘えきってきたような、そんな安らかな余韻が残る。
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 訪れる以前の唯一の情報といったら、西原理恵子女史の漫画にあった「新島はかつてナンパ島だった」という一点。お隣りの式根島には随分前に行ったことがあり、いい所だったという印象がある。さて新島は・・・と心躍らせながら15日朝集合したのは調布空港。「バスに羽を付けたみたいな飛行機だよ」と聴いていたけどまさにその通りで、座席は二列で定員は30人くらいだろうか。そして壁一枚で空とつながっている感満点の、スリルと憧れが共存した飛行機だった。
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 有視界飛行というんだそうな。つまりはパイロットが目視で操縦するので、視界不良となると欠航になるし、出発時刻が日の入りや日没時間によって左右される。いつまでも下界が見える高さを飛ぶので、零戦に乗った戦士たちも同じような距離感で空を飛んでいたのかもしれないなどと思いを馳せたら少し哀しくなった。

 一時間足らずで新島空港に到着。地元の世話役K氏の案内で目的地へ。そこで郷土料理研究会の皆さんと自己紹介をし合いそれぞれに準備を始める。年齢構成も様々な研究会の女性陣はおおらかで話上手で、花が咲いたように明るい。その中をくさやをあぶる匂いが貫く。あじ、青むろあじ、こむろ、とびうお、いわし。臭いはずなのに新島にいるからなのか臭いとも感じなくなる。外では元競走馬だった馬がぽくりぽくりと歩いている。静かで心地いい空気が流れる。そちこちで心の赴くままにシャッターを切った。撮りたい欲が刺激される素敵な光景だった。
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 大勢でにぎやかに昼食をとった後、博物館である古民家に移動してメインカットの撮影、その後サブカットの撮影。K氏や女性陣から伺う話はどれもこれも面白く、好奇心を刺激される。「島って吹きだまりなんですよ。ここから先は海しかない。だから伝わってきたものが流れずにとどまっていつまでも残るんです」。室町時代に本土で流行った踊りがいまだに島に残っているという例をひきながらK氏が説明してくれた。たぐって行ったら過去に伝来した文化たちの地層にたどり着けるかも知れない。ロマンの匂いがする。

新島行き〜初日編〜_a0025490_231296.jpg 撮影終了後、砂風呂に案内していただく。ここから完全に旅モード。編集女子とともに砂風呂に首までつかり、あまりの気持ち良さにうたたね。夜はカフェ併設のおしゃれな民宿「Saro」でK氏の家族と編集女子とともに夕食、宿のスタッフさんたちともおしゃべり。オーナーがなんと水戸の方で一気に親近感を抱く。

 常より早く夕ご飯が済み、食後のコーヒーとたばこを楽しみながら置いてあった「限界集落」(フォイル)を読む。流れている音楽は大橋トリオのアルバム「a bird」。何から何までしっくりくる要素だらけで、仕事で来たのを忘れそうなくらい民宿「Saro」の醸す空気にとけ込んだ。22:00過ぎ、就寝。自然と眠くなったので。

 
Commented by saheizi-inokori at 2009-10-17 08:46
くさやも往年の臭さはなくなったそうですね。
大好きです。
Commented by naomu-cyo at 2009-10-20 00:53
佐平次さん・・・あの空気の中でこの匂いをかいでいると臭いとも感じなくなります。きっと東京の集合住宅で焼いたらめちゃめちゃ臭いんでしょうけどね。あじのくさやが適度に脂がのってておいしかったです。
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by naomu-cyo | 2009-10-17 02:31 | | Comments(2)