フォトグラファーの武藤奈緒美です。日々感じたことや思ったことを、写真とともにつれづれなるままに。


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ライブに古着に「もしもし下北沢」。

 こよなく愛する街・下北沢。学生の頃からこの街でたくさんの音楽や芝居に触れ、買い物や食事を楽しんできた。20代の頃はもちろん、30代半ばを迎えても相変わらず魅力的な街であることにかわりはない。

 先週金曜日、久しぶりにCLUB251でthe PinkTale Characins(通称ピンカラ)のライブを観てきた。彼らの出番とほぼ同時に入場、一曲目の「ヤサシイウタ」があまりにも痺れたので、事後報告すればいいかとカメラを取り出しぱしゃぱしゃとギターボーカルのりつさんを撮った。この夜も「嫁にしてくれ!」と言いたくなるくらい素敵なたたずまいとパフォーマンスだった。ここの照明もいい。すごくドラマチックにうたうたいたちを照らしてくれる。

 りつさんとの付き合いも随分と長くなった。もう10年近くなる。出逢った頃にはすでにthe PinkTale Characinsでギターを弾いて歌っていた。そして今は前よりいっそうガチンコに音楽と向き合っているのが伝わってくる。ドラマーが今のいくみちゃんになって一年。音楽のことは皆目わからないわたしでも、彼女のドラムが随分と曲のもつ雰囲気に添うようになったなあと感じられる。きっとものすごく曲を愛し練習してきたからなのだろう。川端さんのベースもエッジが立っていてかっこいい。

ライブに古着に「もしもし下北沢」。_a0025490_2061551.jpg ライブハウスそばの古着屋に久しぶりにふらっと入る。レトロポップな柄のワンピースに目が釘付けになり、試着させてもらう。年齢的金銭的にさほど無理がなかったので買ってしまった。この店も思えば学生時代に頻繁に出入りした。店名が途中で変わったけど、おおもとは同じ会社なんだそうで、今年28周年とのこと。「学生の頃に買ったここの古着、まだ着てますよ」と言ったら喜んでいた。古着の楽しさを知った店でもある。どこのブランドもさほど変わらないように見える(年のせいか?)いまどきの女子ファッションはどうもなじめなくて、毛色の変わった店やユニセックスなラインの店でばかり買い物するのが常だけど、たまには懐かしの古着屋もいい。

 毎日新聞の土曜日掲載の小説「もしもし下北沢」(吉本ばなな)にはまっている。読んでいると行間から下北沢の街が浮かび上がってきてわくわくする。実在の店も登場するせいなのか、街を歩いているときにふと登場人物たちとすれ違っているんじゃないかと思えたりする。吉本ばななの膨大な作品のほんの一部しか読んでいないけれど、「ハチ公最後の恋人」や「キッチン」、「哀しい予感」は大好きだ。いつの間にか彼女の紡ぐ言葉が感情のひだの中に入り込んできて、わけもわからず涙がこぼれているなんてことがままある。今回の「もしもし下北沢」もそういう感じのする作品で、予期せぬ形で父を失った娘が母親とともに下北沢という街で心を回復していく過程に、特に心に傷もないわたしがなんだかとても癒されている。

 いつか住みたい街、下北沢。西荻窪にも住みたいけれど、下北沢も捨て難い。いくつになってもそう思える街のままでいてください。
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by naomu-cyo | 2010-02-15 20:06 | 読書 | Comments(0)